アトピー覚書ブログ

成人型アトピー 脱ステ・脱保湿患者のブログ

アトピーはなぜ増えたか?

なぜアトピー性皮膚炎の患者が、昔に比べて、現代で増えているのでしょうか。

昔から現代といっても、アトピー患者が増えたのは、この数十年の間です。

ですから、この数十年の間の変化にヒントがありそうです。

 

食生活の変化でしょうか。

もしかしたら関係しているかもしれません。

しかし、食生活の変化はほぼすべての現代日本人に起きた変化ですから、食生活が原因なら、もっと多くの人がアトピーを発症していてもおかしくないと思います。

  

水道の塩素のせいでしょうか。

それとも、石けんや洗剤などの界面活性剤のせいでしょうか。

しかし、これらも食生活と同様、ほぼすべての現代日本人が水道水を使い、石けんや洗剤を使っているのですから、もっと多くの人がアトピーを発症していてもおかしくないと思います。

ストレスも同様です。現代日本人の多くがストレスを抱えています。

 

私は、これらの "アトピーを引き起こしている原因" と疑われているものは、実際は、「すでにアトピーを発症している人の症状を悪化させる悪化因子」にすぎないのだと思います。

つまり、すでにアトピーを発症しているがために、食事で温まるだけでかゆくなったり、塩素や石けんなどで皮膚バリアがさらに損なわれたり、アトピーそのものがストレスになったり、保湿に依存したり、夜にかゆみが出て睡眠不足になっているのではないかと思います。

言いかえると、アトピーを発症していなければ、これらの因子の影響を受けないので、食べて温まってもかゆくならず、塩素や石けんに肌は負けず、保湿は良い影響をもたらし、睡眠不足になることもないのだと思います。

 

では、いわゆるアトピーの原因とは何でしょうか。

残念ながら、私にはわかりません。

けれども、ひとつ、ほとんどすべてのアトピー患者に共通している因子があります。

ステロイド外用薬の使用です。

いわゆるアトピーの症状が強く出るようになった一因、とりわけ成人まで長引くアトピーが増えた原因としては、ステロイド外用薬の使用によるところが大きいのではないかと、私は考えています。

ここ数十年の変化には、ステロイド外用薬の臨床導入も含まれます。

 

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前提として、ステロイド外用薬が、炎症を抑える一方で、皮膚バリアを損傷させる作用があることがわかってきています。

Cork氏の論文の一節です。

Taken together, although the use of TCS suppresses inflammation associated with AD, they concomitantly seem to further damage the skin barrier, thereby increasing the risk of developing further flares of the disease.

まとめると、ステロイド外用薬の使用はアトピー性皮膚炎に関係する炎症を抑えるけれども、同時にスキンバリアの損傷を促進し、その結果、疾患に係る炎症をさらに引き起こすリスクを高めるとみられる。*1

ステロイド外用薬の使用により、炎症がおさまり、症状が改善するというのが、一般的な考え方です。塗り薬では副作用は少ないといわれています。

一方、一般に指摘されることはほとんどありませんが、場合によっては、ステロイドによって皮膚バリアが損傷されます。そのために、ステロイドが炎症を誘発し、アトピーの症状をさらに悪化させることがあるようです。いわばステロイド誘発性皮膚炎です。

この場合において、コントロール不良となれば、ステロイドに依存する可能性があり、症状が遷延化することが考えられます。

ステロイド依存になると、ステロイドをやめたくても、やめようとすれば症状が悪化するのでやめられない状態になります。

ステロイドを使用し始めてからなかなかやめることができず、気づいたら、何年、何十年と使い続けているケースは枚挙に暇がありません。

したがって、私は、昔に比べてアトピーが増えたのは、とりわけ成人型アトピーが増えたのは、皮膚科や小児科で処方されたステロイドを使い続け、大人になってもステロイドをやめられなくなっている人が増えているからだと思います。

このことは、アトピーが成人期まで長引いているというよりも、ステロイドがいわゆるアトピーを成人期まで長引かせているといえるかもしれません。

 

今のところ、仮説の段階ですが、幼児期のステロイド外用薬の使用が、先進国のアトピー性皮膚炎の増加因子であると指摘する人もいます。

The prevalence of atopic diseases (atopic dermatitis, bronchial asthma, allergic rhinitis) has considerably increased for the last 40 years. This tendency has coincided with the beginning of the epoch of the use of the topical corticosteroids, which have a potent immunomodulation action. This fact itself as well as a number of research results has allowed to formulate the following hypothesis: the use of topical corticosteroids in children of early age contributes to the increase of prevalence of atopic diseases in the developed countries.

アトピー性疾患(アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎)の有病率は過去40年で大幅に増加している。この傾向は、強力な免疫修飾作用をもつステロイド外用薬の使用が始まった時期と一致している。多くの研究結果と同様、この事実により、幼い子供へのステロイド外用薬の使用が、先進国におけるアトピー性疾患の有病率の増加の一因となっているという仮説を説明できる。*2

 

 続いて、佐藤健二医師による考察を引用します。

高度経済成長期には、煤煙や光化学スモッグなど日本人全体に降りかかった環境変化があったが、アトピー性皮膚炎の年齢分布をはじめ病像は変わらなかった。しかし、1975年から2000年までの25年間に激変している。
 乳幼児期には好発部位であったが、成長するにつれて皮疹があまりでなくなる部位(肘窩や膝窩ではなく肘と膝)がある。難治化アトピー性皮膚炎では、このような部位にもしばしば強い皮疹が出現する。また、ステロイド外用剤の開発されていないときには、顔面の皮疹は乾いたものが多かったが、ステロイド外用剤を使用した患者がステロイド離脱すると、湿った紅斑をしばしば作る。ステロイド外用剤開発以降に難治化アトピー性皮膚炎に生じているこれらの変化に関しては、何らかの説明が必要である。難治化アトピー性皮膚炎の原因として多くの人が考えている食生活の変化やすべての人に共通に加わる環境の変化(例えば、煤煙などの公害)では、体の特定の場所を悪化させることを説明しにくい。

ステロイド外用剤の皮膚に対する効果の強さは、他の環境要因の作用の比ではない。アトピー性皮膚炎患者はこの強力な環境変化の中に置かれた人々であり、特に幼少期から病状が出るため、そのときから強いステロイドの影響を受けている。

昔は乳幼児期のみの皮疹好発部位だったところに、最近では成人になっても皮疹が出現するようになっているならば、乳幼児期における何らかの出来事と関係づけることが素直である。好発部位だけに対する強い影響力のあるものとすれば、ステロイド外用剤以外にはないであろう(最近ではプロトピックも考慮されるべきである)。

ステロイド使用経験のある患者として補足すると、佐藤氏が指摘するように、

ステロイド外用剤の皮膚に対する効果の強さは、他の環境要因の作用の比ではない

ということです。

食事や界面活性剤や花粉やストレスなどの環境要因は、ステロイドの作用の強さに比べれば、本当に微々たるものでしょう。

ひとたびステロイドを塗れば、そのような微々たる影響など、すぐに吹き飛びます。

ですから、一にも二にも、ステロイドの影響をこそ考えねばなりません。

 

それでは、炎症が再燃して悪化したとしても、きっぱりとステロイドをやめれば、いわゆるアトピーの症状は出なくなるのでしょうか。

これについては、脱ステロイド後、アトピーの症状が出なくなったという人もいれば、残念ながら再びステロイドを使わざるを得なくなる人もいます。

最初の脱ステロイド・リバウンドから10年以上経つ私も、いわゆるアトピーに今も悩まされています。

私は、20代半ばでのステロイドの使用後、明らかに、皮膚が非常に不安定になり、悪化しやすくなりました。40代になろうとする今もそれは変わりません。ですから、間違っているかもしれませんし、間違いであってほしいのですが、ステロイドが長期に影響を及ぼしている可能性もあると考えています。

脱ステロイド後の経過が長引くと、食べ物やストレスや花粉などの何かが悪いのではないかと考える方が多いようです。

しかし私は、単にステロイドを相当に長期に使い続けた影響が、半永久的に残っているだけではないかと思うことがあります。

長期にわたりステロイドがDNAに作用を及ぼしてきたわけですし、乳幼児期のステロイド使用が、成人期にも影響を及ぼすとすれば、それほど突飛な考えとも思われません。

脱ステロイドでなかなか良くならない場合も、食事やストレスに目を向けるのではなく、残されたステロイドの影響にどう対処するかが問題であるように思います。

 

最後に、深谷元継医師の見解を紹介します。

私の子供はアトピーではありませんが、「自分の子(がもしアトピーであったら)にステ塗らない」のはその通りです。ステ使わなければ少なくとも依存にはなりませんからね。それに、医学的証明はされていないですが、ステロイド外用剤が広く使われるようになって以降、アトピー性皮膚炎が難治化し成人例が増加したという状況的不安要素があります。*3

アトピー性皮膚炎の難治化の原因が、ステロイド外用薬のせいであるという決定的な証拠はありません。

けれども、疑わしい状況は確かにあります。

今ではいわゆるトンデモな仮説かもしれませんが、私は、いつかステロイドの負の側面が明らかになる日がくると信じています。

 

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(引用部分の翻訳および赤字による強調表示は当サイトによります。正確な翻訳を期していますが、正確性を保証するものではありません。)

*1:MJ Cork et al. Epidermal Barrier Dysfunction in Atopic Dermatitis. Journal of Investigative Dermatology (2009), Volume 129.

*2:Alexander N.Pampura. Prevalence of atopic diseases and the use of topical corticosteroids. Is there any connection? Medical Hypotheses Volume 64, Issue 3, 2005, Pages 575-578.

*3:http://steroid-withdrawal.weebly.com/1230033073124731248612525124521248912399303823317831185123983339124515123016529112465125401247365300123983215422577.html