アトピー覚書ブログ

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アトピーの赤ら顔の分類

顔面のびまん性紅斑

成人アトピー性皮膚炎患者の多くが、赤ら顔(顔面のびまん性紅斑)に悩まされていると思います。

私も、この赤ら顔が、この5年あまり、いわゆるアトピーに関わる最大の問題となっています。

 

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問題は「見た目」と「かゆみ」です。

時と場合によっては顔全体が真っ赤になるので、人と会うのが億劫ですし、会ったときはまともに目を合わせることができません。

「顔赤いよ?」と、何度言われたことでしょう。

赤みの他にも、次のような見た目の問題があります。

  • 眉毛の外側が薄い(ヘルトゲ兆候)。
  • 下まぶたの皺(デニー・モルガン兆候)。
  • 口角炎と耳切れ(冬に顕著)。
  • 鼻以外の白色皮膚描記症。

症状が出てからは人相が変わってしまいました。

それ以上に困るのが、強いかゆみです。かゆくてこすってしまうので、治りませんし、ますます赤くなってしまいます。かゆみが強いのは、私の場合、眼の周りと口の周りです。あごのラインがかゆくなるときもあります。

 

そして、首には、さざ波様色素沈着(ダーティネック)があります。症状をまとめると、典型的な成人アトピー性皮膚炎です。

 

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成人期の臨床症状

丘疹、苔癬化、乾燥症状が顕著で、痒疹結節が目立つようになり、顔面の紅斑・潮紅を伴う。一般に難治であり、このような患者では、頸部にさざ波様の色素沈着、まゆ毛の外側の脱毛化、下眼瞼内側の雛襞を認めることが多い。*1

 

赤ら顔の3タイプ

赤ら顔の原因は患者ごとに異なると考えられています。

紅斑を病理組織学的に調べると、次の3つのタイプに分類されるとする研究があります *2

 

  1. 湿疹性変化を主体とする病変
    浸潤性紅斑、強い掻痒。アトピー性皮膚炎の病変そのもの、あるいは、接触皮膚炎の可能性。
  2. ステロイド酒さ様変化を主体とする病変
    浸潤性紅斑および痤瘡様丘疹、掻痒は軽度。長期間のステロイド外用剤治療によりステロイド酒さ様変化を生じた可能性。
  3. 湿疹性変化とステロイド酒さ様変化がともに目立つ病変
    浸潤性紅斑および痤瘡様丘疹、掻痒は軽度。

 

要するに、「アトピーそのもの」、「ステロイドの副作用」、「アトピーとステロイドの副作用の混合型」の3タイプに分けられるということです。 

どのタイプが多いかというと、この研究で調べた症例のうち、7割以上が 3. 「湿疹性変化とステロイド酒さ様変化がともに目立つ病変」であったということです。

私は現在の赤ら顔とは別に、かつて、タクロリムス外用薬によると考えられる顔面の酒さ様変化を起こしたことがあります。これは、2. のステロイド酒さ様変化に類似するものと思われます。顔が真っ赤に腫れあがったものの、確かに「搔痒は軽度」だった記憶があります。

このステロイド酒さ様変化は、薬の使用を中止すれば治ると考えられます。私の場合、この時の顔の赤みと腫れは、薬を中止したあと、時間とともに引いていきました。

 

3タイプの臨床像

1999年の学会レポートで上記の分類を紹介した杉浦久嗣氏は、3タイプそれぞれの臨床像について次のように説明しています *3

  1. 湿疹性変化を主体とする病変
    「かゆみがあり、ある一定の時間になると皮疹部に押し寄せてくるような強い感覚となります。」
  2. ステロイド酒さ様変化を主体とする病変
    「首から下は非常に治まっている方が多いようですが、顔面はべたっと赤いです。この患者は暖かい部屋に入るとばぁーっと赤くなり、冷たい部屋に入ったら少し色が薄くなるということを繰り返します。また、血管の拡張、血管の反応が亢進しています。」
  3. 湿疹性変化とステロイド酒さ様変化がともに目立つ病変
    「非常に厚い、首にもちょっと湿疹があり、顔面はびまん性に赤く、かゆみも繰り返し湧いてきます。色素沈着もあります。」

 

なお、杉浦久嗣氏は、ステロイド酒さがアトピー素因のない人にも生じ得ることや、ステロイド依存症になる人とならない人がいることを指摘しています。

ステロイドを顔面にずっと塗り続けていると、ステロイドの依存状態に陥ることは非常によく知られています。(中略)

酒さ様皮膚炎は全員には起きません。10人のうちの数人は酒さ様皮膚炎を呈しますが、ステロイドを使っていても依存症にならない人がいます。だから、なかなか難しいのですが、依存症に進む人なのか、依存症でない人なのかということもみながら、攻めるか、引くかということをやっています。 *4

ある患者の赤ら顔がステロイド外用薬等によって改善したとしても、他の患者ではステロイド依存になってしまう可能性があるということです。

 

顔面の湿疹の原因

私の現在の赤ら顔について考えてみると、ここ数年はステロイドおよびタクロリムス等を全く使用していないので、2. 3. の可能性よりも、1. に分類される可能性が高いと思われます。つまり、アトピーそのものの赤ら顔です。「強い掻痒」があります。

この場合、いわゆるアトピー性皮膚炎としての顔面の湿疹性変化には、どのような原因が考えられるのでしょうか。

一例として、皮膚科医の遠藤薫は、「顔面の湿疹の原因」を次のように一覧に挙げています*5

  1. 外用剤の接触皮膚炎。
  2. 化粧品・セッケン・シャンプー・クレンジングなどの接触皮膚炎。
    (パラベン、香料、界面活性剤、食物エキスやハーブなどの天然成分)
  3. 外部接触物(メガネ、マスク、目薬など)・外部付着物(仕事で浴びているもの、化学物質など)。
  4. 花粉・ダニなど空気中の抗原。
  5. 慢性副鼻腔炎・慢性扁桃炎など顔面付近の常在細菌アレルギー。
  6. 単純ヘルペスのアレルギー(ヘルペス症状があるとは限らない。主に口唇・口囲・眼囲などの湿疹)。
  7. 片側性のときは利き手で触ったもの(ペット、化学物質、仕事で触っているもの)。
  8. 精神的要因による悪化。温度や湿度の変化。
  9. 日光・紫外線。
  10. 真菌感染症。

 

どれも当てはまりそうです。しかし、ひとりの患者として、これらの原因に具体的にどのように対処すればよいのでしょう。

皮膚科医を受診しても親身に相談にのってくれるとは思えません。短い診察時間のなかで、悪化因子の検索を患者の納得がいくまで手伝ってくれる医師はいるでしょうか。

多くの医師は、原因の除去よりも対症療法を優先させ、手っ取り早くステロイドないしタクロリムス外用薬を処方しようとするでしょう。

赤ら顔が治らないのは、掻いたりこすったりしていて炎症が治まらないためであるから、まずはタクロリムス等で炎症を抑えるべき、という一般論は理解できます。

しかし、薬を塗っている間は良いでしょうが、それでは問題を先送りにしているだけですし、私は過去に薬による酒さ様変化を起こしているのでリスクが高いです。

また、私の場合、顔以外の体の部分の炎症は、季節的な変動によってある程度治まるので、タクロリムス等を使わなくても何とかなります。

ですから、副作用の上塗りをしないように、顔も免疫抑制剤を使わずに何とかしたいと思うのです。しかし、顔だけは、何ともなりません。その理由が知りたいです。なぜ顔だけは、毎日かゆくなり、一年中炎症が治まらないのでしょう。

 

素人考えでは、どうも毛細血管拡張が大きく影響しているような気がしています。顔面の血流異常が、かゆみに影響している気がするのです。白色皮膚描記症があることはマイナス要因なのでしょう。

食後にかゆみが出るのは、飲食により血流量が増加し体温が上昇するからかもしれません。温度変化にも敏感になっているように思います。

また、顔面の神経に何か異常が生じているのかもしれません。ものすごく敏感になっているような気がします。

皮膚細菌叢が関係しているのかもしれません。洗いすぎると乾燥してかゆみが出る一方、洗わずにいてもかゆみが出るからです。

その他、脂漏性皮膚炎や全身性エリテマトーデス(蝶形紅斑)、皮膚筋炎(ヘリオトロープ疹)などとの鑑別が必要でしょうが、私には当てはまらないと思われます。

 

赤ら顔の治療について

インターネットで赤ら顔について調べると、「アトピーの赤ら顔を◯週間で治す方法」などといった、驚きのけぞってしまうような情報が存在します。さらに驚くことには、医師でもないのに、赤ら顔の治療にステロイドやタクロリムス外用薬の使用を安易に勧める人々がいるのです。そして、こうした情報には、市販化粧品へのリンクがあったりします。

一方、皮膚科医にとって、成人型アトピー性皮膚炎の赤ら顔は治療に難渋する症例です。先程示した学会レポートにおいて、九州大学皮膚科の古江増隆氏は、顔面紅斑の臨床がいかに困難であるかを述べています。一部引用します。

こういう方は、先ほどみたいに2週間ではよくなりません。かなり長期にわたり、ステロイド外用が必要となります。まず、very strong のステロイド外用から始め、ランクを落とします。その後、2カ月後、まだ赤みがあります。4カ月間、medium を使い、赤い部分だけちょこちょこと塗る治療法に変えました。すると、図20-3のように、ずいぶんと軽減されてきました。ここからはワセリン治療をしていきました。

さて、今度は鼻の頭まで赤くなった、赤ら顔でも慢性のタイプです。こういった方の治療も、やはり very strong で始めます。かなり長期間ステロイド外用が必要と考えられますので、ある程度治療計画をたてます。先程の急性期の患者でも、少し慢性になってくると、3カ月、半年と外用が必要なように、この方では1年近く、ゆっくりゆっくり外用をしていく必要があります。実際、こういった方に遭遇すると、日常診療上、治療が非常に困難です。

さらに、古江氏は、ステロイド外用が危険なタイプの赤ら顔について説明しています。

さて、図24-1はカポジー水痘様発疹症のように見えますが、ブドウ球菌が関与しているタイプです。普通、このような症状の患者にステロイド外用は危険です。まず初めは抗生剤を内服させながら、サトーザルベ貼布を行い、慎重に見ていく必要があります。図24-2は2週間後の状態です。ところが、MRSA になってくると、話は全く違ってきます。(中略)

患者の顔面にはかきがら状の渮あるのが分かります。このような発症は溶連菌や MRSA 感染症で認められます。この患者の場合、後者です。亜鉛化単軟膏、ワセリン、ピオクタニン軟膏、ステロイド外用などいろいろな手段で follow していきますが、少し落ちついてきたなと思っても、すぐに悪化するということをずっと繰り返していました。2年間ぐらい follow して MRSA が消失するとかなり軽快し、ようやく通常の AD(アトピー性皮膚炎)の状態に戻りました。

赤ら顔に、ブドウ球菌やMRSAが悪化因子として関与している場合があるので、ステロイドやタクロリムスさえ塗っておけば良いわけではありません。治療には慎重さが求められます。

 

最後に

赤ら顔に悩まされているいわゆるアトピー性皮膚炎患者は多いと思われますが、赤ら顔をターゲットにした根治療法はあまり検討されていないように思います。

タクロリムス外用薬の登場後、顔面の症状をコントロール可能になった患者は少なくないと思われますが、赤ら顔の患者がいなくなったわけではありません。

私の生きているうちに治療法が確立されてほしいものですが、外用療法が幅を利かせている現状では難しいかもしれません。

 

(当サイトはいかなる治療法をも推奨するものではありません。また、当サイトに掲載されている情報を利用することにより発生したいかなる損害についても責任を負うものではありません。)

*1:平成22年度リウマチ・アレルギー相談員養成研修会テキスト「第2章アトピー性皮膚炎(3.学童・成人アトピー性皮膚炎の臨床像・病態・経過)」

*2:Omoto M et al. Histopathological features of recalcitrant erythema of the face in adult patients with atopic dermatitis. J Dermatol. 1994 Feb;21(2):87-91.

*3:学会レポート「成人型アトピー性皮膚炎における難治性顔面紅斑の病態と治療」. アレルギー・免疫, Vol.6, No.8, 1999.

*4:学会レポート「成人型アトピー性皮膚炎における難治性顔面紅斑の病態と治療」. アレルギー・免疫, Vol.6, No.8, 1999.

*5:http://www.atopy-endo.com/manual16atopysymptom.html