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アトピー覚書ブログ

成人型アトピー 脱ステ・脱保湿患者のブログ

毎日新聞で非ステ治療6か月調査が紹介される

2017年4月8日付の毎日新聞に

「アトピーにステロイド必須?」

と題する記事が掲載されました。

 

佐藤美津子医師や深谷元継医師らがまとめた論文が紹介されています。

アトピー性皮膚炎をステロイド外用剤を使わずに6か月間治療して、過半数が改善したという結果をまとめた論文です。

大手メディアがこの論文を取り上げたことの意義は大きいと思います。これを機に、ステロイドを使わない治療への理解が広まることを期待します。

また、6か月調査の論文があって、この毎日新聞の記事につながったといえるので、調査を行った臨床皮膚科医の方々に敬意を表したいと思います。

 

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(出典:http://steroid-withdrawal.weebly.com/1247312486125251245212489124342035129992123751239412356124501248812500125402461530382331782881412398320763694235519266191239512372213322114712367123841237312356.html

 

さて、毎日新聞の記事の概要は次の通り。

  • 非ステ治療6カ月の結果(改善率→乳幼児75%、小児52%、成人80%)。
  • 標準治療6カ月の結果(改善率→乳幼児36%、小児40%、成人37%)。
  • ステロイド使用の是非が皮膚科医の間で議論になっていること。
  • 非ステ治療医が指摘するタンパク質摂取の重要性
  • 小児科医コメント「ステ使用有無の6カ月調査の比較が適切かどうかは問題」。「ステ使用が有効な治療法というのが専門家のコンセンサス」。ただし「ガイドラインの示す治療がすべてでもない」。

一読して、とてもバランスのとれた記事であると感じました。日本皮膚科学会の提灯持ちのような記者ばかりでなく、多角的な視点からきちんと取材してくれる記者の方もいらっしゃるということです。

以下、記事を読んでの個人的感想を記します。

 

乳幼児について

私は、乳幼児の湿疹は自然治癒する傾向があると思われるので、特に乳幼児においてはステロイドは必須ではないと思います。加えて、乳幼児の湿疹がアトピー性皮膚炎かどうかもわからないままに、安易にステロイドが処方されているとすれば問題だと思います。

 

6か月調査論文の比較について

記事では、非ステ治療6か月後の改善率とともに、標準治療6か月後の改善率も紹介されています。素直に読めば、ステロイドを使わない方が成績は良いです。試験デザインが異なるので単純に比較することはできませんが、参考となるデータには違いありません。

 

学会での反応について

記事によれば、佐藤医師は3月半ばに近畿小児科学会で発表したそうです。発表に対する会場の医師の反応を引用します。

会場の医師からは

「ステロイド剤を使用せずに自然に治ったなら、アトピー性皮膚炎ではなかったのでは」

「ステロイド剤を使っても使わなくても、結果に大差がないならば、ステロイド剤を使ったほうがよく眠れたり、途中で皮膚をかきむしったりすることが少ないので、むしろ使ったほうがよい」

などの意見が聞かれた。

 

 まず「ステロイド剤を使用せずに自然に治ったなら、アトピー性皮膚炎ではなかったのでは」という意見。

これは次の点を指摘していると思われます。

  1. 非アトピー→自然治癒する
  2. アトピー→自然治癒しない(ステ使用すべき)

そうであれば、患者がアトピー性皮膚炎であるかどうかを慎重に診断することが、大変重要になってくるのではないでしょうか。

実際には、アトピー性皮膚炎ではない可能性があるにもかかわらず、アトピー性皮膚炎であると即座に診断され、ステロイド剤が処方されているケースが少なくないと考えられます。この点を議論すべきです。

 

次の「ステロイド剤を使っても使わなくても、結果に大差がないならば、ステロイド剤を使ったほうがよく眠れたり、途中で皮膚をかきむしったりすることが少ないので、むしろ使ったほうがよい」という意見。

まず前提として、私は結果に大差があると思います。

さらに言えば、この医師は、ステロイド外用剤依存の患者を診たことがないのだと思います。依存のためにステロイド剤を中止せざるを得なくなった場合は、夜明けまで眠れませんし、想像を絶する強いかゆみに襲われます。

要するに、ステロイド外用剤を使用する治療において、場合によっては依存する可能性があることをリスク情報として患者に伝えることが、QOL以前の大問題なのです。

また、私の場合、ステロイド使用期間中、かゆみはだんだんと強まっていきました。脱ステロイド後よりもかゆみは強かったです。私がステロイドを使用していない理由のひとつは、当時のようなひどく強いかゆみに襲われるリスクを避けるためです。

 

小児科医師のコメント

毎日新聞の取材に対して、近畿小児科学会で座長を務めた住本真一医師は次のように述べています。

「ステロイド外用剤の適切な使用が有効な治療法というのが専門家のコンセンサス。しかし、ガイドラインの示す治療がすべてでもなく、医療の現場で患者さんの気持ちに合わせて治療するのも医師の技量です」

私はこの意見に同意します。そして、このコメントに様々な要素が凝縮されているように感じます。皮膚科医からこのようなコメントが聞ける日は、一体いつ来るのでしょうか。

 

医師も楽な薬

私は、あるとき、標準治療を行う皮膚科で診察待ちをしながら、診察室から聞こえてくる医師と患者のやりとりに耳を傾けていました。

湿疹のある乳児と母という親子3組が、立て続けに診察を受けていました。皮膚科医は3人の赤ちゃんすべてにステロイド剤を処方しました。

さらにそこへ、わんわん泣いている乳児と母が駆け込んできました。赤ちゃんがかゆがって泣いているから何とかしてほしいと、母親は皮膚科医に訴えました。

皮膚科医は、処方箋をもって早く薬局へ行きなさい、ステロイドをもらって早く塗るように、と母親に指示していました。かゆいのは眼の周りのようでした。

私はなす術もなく、ただただ赤ちゃんのことを心配しました。赤ちゃんは本当にアトピーなのか。アトピーにステロイドは必須なのか。

ステロイドは、患者を楽にする場合もある一方で、皮膚科医や小児科医を楽にする薬ではないか、と考えることがあります。何しろ、片っ端からステロイドを処方していれば、診察の体裁は保てるように見えるからです。

最近であれば、アレルゲンの経皮感作の話でも織り交ぜて、湿疹を放置するリスクを説けば、患者にステロイドを塗るように説得することもたやすいように思います。

アトピー患者のなかには、「皮膚科医なんて楽な仕事だ。あんなの俺でもできるぜ」と揶揄する人があります。患部をちらっと見てステロイドを処方するだけの仕事だという意味です。私もそう思うときがあります。

まさか医師は楽をするためにステロイドの有効性を主張しているわけではないと信じます。しかし、今のアトピー診療においては、まさに医師の技量が問われています。それは決して楽な仕事にはならないでしょう。

 

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