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AADにおけるステロイド外用剤依存

2017年3月に行われたアメリカ皮膚科学会(AAD)の年次総会で、次の研究が発表されました。

Tim Berger M.D., Patricia Francis-Lyon Ph.D., Jim Parker M.D., Pamela Friedman MS,
Purvi Sengar MS, Jessica Owens, Arrash Moghaddasi, "Analysis of Patient-Reported Symptoms With Respect to TCS Usage: A Self-Identified Cohort of Patients With RSS/TSA/TSW".

「ステロイド外用剤使用に関する患者報告症状の分析: RSS/TSA/TSW患者の自己認識コホート」

 

f:id:atopysan:20170407195440j:plainhttps://www.aad.org/eposters/Submissions/getFile.aspx?id=5628&type=sub

 

ポスター発表資料より、背景とサマリー部分を翻訳引用します。

背景

ステロイド外用剤(TCS)は、炎症性皮膚疾患の治療の中心であり、適切に使用された場合は安全であるように感じる。赤い皮膚症候群(RSS)やステロイド外用剤依存/ステロイド外用剤離脱(TSA/TSW)に関する報告の増加に応じて全国湿疹協会により行われたシステマティック・レビュー(2015)は、RSS/TSA/TSWがステロイド外用剤の長期使用により生じうる副作用であると結論づけた。RSS/TSA/TSWの現象は稀であるとみなされている。有効な定義、患者記録、エビデンスに基づく治療はない。

サマリーおよび今後の方向性

ステロイド外用剤を使用した多数の患者が、その使用に関連して症状が生じていると信じている。このコホートでは、症状は重症で持続的であると報告された。過去に報告されているように、長期間で強度のステロイド外用剤の使用は、より重症で長期にわたる症状と有意に関連している。RSS/TSA/TSWの正確な定義、診断基準、予防法、治療戦略を導き出すにはさらなる研究が必要である。

 

アメリカ皮膚科学会(AAD)年次総会におけるこの研究発表は、5分間という短いもので、大きなイベントではありませんでした。けれども、AADはこの研究をアクセプトし、学会で研究発表の場を与えたのです。

もちろん、AADが初めてステロイド依存を認めたというわけではありません。一例として、アメリカ皮膚科学会雑誌(JAAD)において、2014年に、topical corticosteroid withdrawal (“steroid addiction”) についての総説論文が掲載されています。

 


ステロイド依存という事実が、少しずつ、当たり前のことになってきているようです。

まずは現象の存在を知ってもらうことが大切です。その後、さらなる臨床研究が行われ、症状が定義づけられ、予防法や治療法が導き出されていくことでしょう。

今回の研究に関しては、RSS/TSA/TSW等の啓発活動を行っている患者団体ITSANの貢献が大きいです。また、ステロイド外用剤依存について早くから警鐘を鳴らしてきた深谷元継医師の研究が土台になっています。

また一方で、ステロイド依存のような、皮膚科医にとっては耳の痛い話を、学会において受け入れるアメリカという国の懐の深さに感銘を受けます。

 

翻って日本ではどうでしょうか。

日本皮膚科学会は、ステロイド依存の存在を未だに認めようとしません。所属する皮膚科医に教科書的知識のみを詰め込み、皮膚科医にとって都合のよい患者の声のみをメディアを通じて流布し、ステロイド依存を認めることを望む患者ら16,000筆余の署名を無視してきました。

しかしながら、皮膚科医のうちの賢明な人々は、そろそろ態度を変えていく時期に差し掛かっているのではないでしょうか。

 

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