アトピー覚書ブログ

成人型アトピー 脱ステ・脱保湿患者のブログ

私のアトピー歴(5)脱保湿以降で最大の悪化・中編

私は、脱保湿以降で最大の悪化に対処するべく、温泉へ行くことを決めました。

 

では、どこの温泉へ行くか。

過去の記事で記したように、アトピー患者の評判の高い豊富温泉や草津温泉などは、私の肌に合いません。

かつ、過去に何度も改善した実績のある最も信頼を寄せている温泉は、工事中で宿泊不可でした。

そこで、次の基準をすべて満たす、ある温泉に決めました。

  • 倉林均先生の評価が高い硫酸塩泉
  • 野口順一先生の著作で紹介されている温泉地
  • 湯治宿としての実績がある

場所は比較的近場の群馬県。年末年始を挟むこともあり、予約をとることができたのは数週間後でした。3泊4日の日程です。

しかし、3泊4日ではきわめて限られた効果しか得られません。そこで、さらに仕事を休み、スケジュールを調整し、4泊5日でもうひとつ別の温泉へ行く予定を立てました。東北にある硫酸塩泉で、アトピーに効果があるとされる温泉です。

別の温泉にした理由は、泉質を変えた方が効果が出る場合があることと、先に行く温泉の効果がなかったときのための保険です。

温泉を予約してからは、その日が来るまで、まさに指折り数える毎日を送りました。あと何週間、あと何日、というように。しかし、試練はまだまだ続くのです。

 

クリスマスや正月を、普通の人々のように普通に楽しむことはできませんでした。

じっとしているだけでも、かゆみ、痛み、そして脚が何かに侵されている感覚がしてきます。それでも正月は親戚の会合に行かなくてはなりません。真っ赤でガサガサで鱗屑のついた顔を見られて、大丈夫かと心配されます。まったく、ぜんぜん、大丈夫ではありませんが、「大丈夫です」と答えます。食べるときは口を開くのが痛く、脚の伸縮が苦痛なので一度座ると立つのも一苦労です。顔がかゆくなってこすると粉がばらまかれるのはいつもの通りです。

日中はまだ良いとしても、つらい夜がやってきます。布団に入る、脚がかゆくなる、掻きむしる、大量の皮膚が落ちる、脚から滲出液が出て、布団に悪臭がこもる、顔や手もかゆく、深夜遅くまで眠れません。

また、シーツに落ちた皮膚がたまり、おがくずの上で寝ているような感じになってしまいます。そこで、体を動かすのが億劫ですが、気合いを入れて布団からでて掃除をします。けれども、このときに皮膚が部屋の乾燥した空気に晒されると、かゆくなって再び掻きこわしてしまいます。保湿依存の傾向が出ているわけですが、布団に入らずにはいられません。

 

正月のあと、悪化していた顔がさらにひどくなりました。脚の悪化に呼応するように、顔も悪化しているような感じです。毎晩、かゆくて顔をこすっていたのですが、とうとう、こすった後に顔から滲出液がにじむようになってしまいました。口の横と、額の一部です。

顔から滲出液というのは、極めてしんどい状況です。脚から滲出液、乳首から滲出液などは、まだ隠せるから良いのですが、顔は隠しようがありません。マスクでも目の周りや額は隠せません。

そして、顔からあの嫌な臭いがするようになりました。アトピー患者で重症化した方ならご存知かと思いますが、滲出液の、鉄のような臭い、魚の腐ったような臭いです。どうしてこんな臭いがするのでしょう? ともかく顔の皮膚から鉄のような臭いがするのです。大変気が滅入ります。

 

さらに、日中も、仕事中に自分から悪臭がするようになりました。もう最悪です。

脚の患部が、ふくらはぎと尻に波及し、もはや下半身全体に「侵されたような感じ」が広がっています。そのため、ズボンを履いていても、悪臭が漏れ漂うようになっていたのです。夜に滲出液で臭うのは仕方ないとしても、午前中から、それも衣服を越えて悪臭がするようになったのはショックでした。

もはやここまで来ると、ある種の達観に至ります。自分がアトピーであるとか感染症であるとか、どうでも良くなります。顔から汁が出てますが、何か問題でも? 私の座るところ行くところ粉だらけですが、何か問題がありますか? 近寄ったら匂いますけど、私はそういう生き物なのです、という具合です。

 

やっと温泉へ行く日がやってきました。

必需品のコロコロ粘着ローラーをバックパックに詰め込み出発です。

初めての温泉が効くかどうか、やや不安がありました。しかし、その心配は杞憂でした。

到着早々湯に入り、ぬめりのある湯を全身に感じて、ああ、これで救われると直感しました。

 

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(画像はイメージであり、本文と関係ありません)

 

皮膚は乾燥しました。とりわけ傷口は乾燥します。そのため、傷だらけの脚はガビガビになり、動かすと痛みます。温泉滞在中は、痛みのため足を引きずるように歩いていました。

けれども、硬く乾燥した皮膚の下では、炎症が抑えられているようなのです。かゆみはやや軽減され、傷口は小さくなって、徐々に消失していきます。

下の写真は、左側が温泉入浴前、右側は温泉入浴から4日目です。傷が減っていることがわかると思います。

抗生物質を飲んでも、抗ウイルス薬を飲んでも、安静にしていても治らなかった傷が、温泉に3泊4日で、悪化傾向が止まりました。「侵されている感じ」もなくなりました。顔からの滲出液も止まりました。

 

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(左:温泉入浴前 右:温泉入浴4日目)

 

このあと、いったん東京へ戻り、数日後に東北の硫酸塩泉で4泊5日療養しました。

下の写真は、東北の温泉4泊5日後の様子を右につけ足したものです。傷が大幅に減りました。かゆみも軽減され、掻きこわして悪化することがなくなりました。

ただし、元からのガサガサした乾燥肌は治っていません。

 

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(左:温泉入浴前 中央:湯治1回目後 右:湯治2回目後)

 

2回の療養期間を合わせると9日ですから、湯治とはいえないほど短期です。本来は最低2週間~4週間は必要です。それくらい滞在すれば、もっと改善したことでしょう。

湯治1回目のとき、抗ウイルス薬の2クール目を内服していました。その他は、湯治中、ステロイドおよび保湿剤などの外用薬は一切塗っていません。「ふろ、めし、ねる。ふろ、めし、ねる。」を繰り返していただけです。

 

まとめると、今回の2回の温泉療養によって、次のような効果がありました。

  • かゆみが減り掻きこわさなくなった
  • 顔と脚から滲出液が出なくなった
  • 脚の傷が減った
  • 指のあかぎれが治った

ただし、効果が認められなかったところもあります。

  • 悪化前からある手の苔癬化部分はわずかな改善
  • 顔面のび漫性紅斑はほぼ変化なし
  • 基礎にある乾燥肌は全く変化なし

これらの症状に対して、効果がないのか、あるいは、9日というあまりに短期のために効果が現れなかったのかはわかりません。

温泉療養によって、いわゆるアトピーを治すことはできないといわれています。けれども、私の場合、悪化した症状を一時的に改善させることができるのです。

過去に何度も救われてきましたが、今回も温泉に救われたかたちです。

 

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