アトピー覚書ブログ

成人型アトピー 脱ステ・脱保湿患者のブログ

玉川温泉体験記

私が玉川温泉を訪れたのは、今から5年ほど前のことです。

当時は、保湿剤依存から離脱してまもない時期で、体じゅう傷だらけでした。ステロイドも保湿剤も使えないので、温泉で回復しようと考えたのです。

どこの温泉へ行こうか迷いましたが、アトピー性皮膚炎にも効くという玉川温泉に決めました。日本一の強酸性の湯がどんなものか見てみたいという興味もあったかもしれません。

そして、強酸性というからには、ある程度は傷にしみるだろうと、覚悟をしていました。

 

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遠路はるばる訪れた玉川温泉。山の中にあり、湯治場の雰囲気が色濃く漂っています。

さっそく温泉に入りました。

玉川温泉の浴場には、源泉100%の浴槽、源泉50%の浴槽、浸頭湯、寝湯、弱酸性の湯など、いくつかの浴槽が設けられています。

私が最初に入浴したのは、たしか源泉50%の湯だったと思います。きっと傷にしみるだろうから、最初は試しに5分くらい浸かって、慣れてきたら時間を延ばしていこうと考えていました。

しかし、甘かったです。

湯船に入った途端、体中の傷という傷にしみてきます。痛くて、1分も入っていられませんでした。逃げるようにして、白湯のかけ湯をして源泉の成分を洗い流し、とぼとぼ部屋に戻りました。せっかく秋田の山奥まで来たのに残念だと思いました。

その後は、3~4日くらいのお試し滞在の期間中、何度か入浴にチャレンジし、がんばって1~2分くらい入浴したり、寝湯をためしてみたりしました。いずれにせよ、10秒数えるのも長く感じるほどの苦痛でした。

満足に入浴できなかったので、大きな改善に至ることもありませんでした。けれども、ほんの少しの入浴で、湿疹のないところ(おそらく皮膚の下でくすぶっていた炎症部位)にかさぶたをつくったことには感心しました。

この力があれば、健常者に生じたちょっとした皮膚炎ならたちどころに治してしまうようにも思えます。

さはあれ、私自身は玉川温泉の有効性を確認することできないまま帰京しました。 

 

玉川温泉がアトピー性皮膚炎など皮膚病に有効であるという話はよく聞きます。私の場合は、もしかしたら傷が多すぎたのかもしれません。やや大げさですが、因幡の白兎のような状態だったのです。

もう少し改善させて、全身の傷をある程度なくしてから入浴すれば、より長い時間湯に浸かることができ、より効果が感じられたのかもしれません。

つまり、強酸性の湯に入る前に、中性の温泉である程度傷を治してから入浴すべきであったのかもしれません。重症度によって泉質を変えることも、温泉を選ぶうえでの大切なポイントであると思います。

現在の私の状態であれば、もしかしたら我慢できるかもしれないのですが、初めて入った時のトラウマが強すぎて、あまり試してみようという気が起こりません。

これは、妥当な判断かもしれませんし、もしかしたら、ものすごくもったいない判断をしているのかもしれません。

 

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さて、玉川温泉を訪れる人は、何かしらの病を抱えている人が多いと思います。

日本一の強酸性を体験したいと考える興味本位の人を除けば、周りに観光地があるわけでもなく、観光目的で訪れる人は少ないと思われます。

湯治客のなかには、もしかしたら余命何か月と宣告されたがん患者の方がいるかもしれません。

そうした命懸けの湯治客からみると、私のようなアトピー性皮膚炎などの皮膚病は軽くみえるのかもしれません。

 

この実例として、私は他の湯治客(仮にAさんとします)と食堂で交わした会話が忘れられません。

A「何か病気なの?」

私「アトピーです」

A「ああ、アトピー(なんだアトピーか、という感じで)。アトピーは腸が原因らしいわよ」

私「そうなんですか。そうかもしれませんね。」

Aさんの言葉の節々から感じたのは、「あなたがアトピーなのは、食べるものに気をつけてないから病気になっているのよ。食べるものに気をつければアトピーなんてすぐに治るわよ」という言外のメッセージでした。

アトピー性皮膚炎も辛い病気には違いないと思いますが、命を取られるわけではありません。

湯治客の中には、何かしら大変な病気を背負っているのだろうと思わせるような悲壮感を漂わせる方がいて、自分がいることが何だか申し訳ないような気になることもありました。

ともあれ、源泉100%の湯に長く浸かったり、岩盤浴で良い場所を確保しようと懸命な人たちをみると、いかに玉川温泉がある種の人々を惹きつけてやまないかがわかります。 

本物の湯治場というに相応しい温泉だと思います。

 

強酸性の湯としては他に草津温泉が有名です。私見ですが、草津でしみなくても、玉川ではしみる場合があるように思います。

「世界の奇蹟 玉川温泉」という本には、この玉川の湯の、針でエグラレル様な痛さをガマンすることが病を治す秘訣であると記されています。

このエグラレル様な激しい痛さを、拳を握って、浴槽の中でガマンして居れば、病巣を中心に全身がブルブル慄えて、額から・・・頭の頂点から、ネットリとして濃い汗が流れて来る。とても・・・一分以上はガマン出来ない痛さを感じるが、これを、出来るだけ長く、ガマンして浴槽に浸っていることが、病気を早くナオス秘訣であるから、出来るだけ長い秒間ガマンすることである。*1

私はガマンできませんでした。ともかく日本一の強酸性の湯は、噂に違わぬ力強さをもっています。

アトピー性皮膚炎でも、人によってはガマンできる人があり、改善する場合もあるということなのでしょう。

 

*1:阿部眞平, 世界の奇蹟玉川温泉, 鹿角タイムス社, 1971.