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アトピー覚書ブログ

成人型アトピー 脱ステ・脱保湿患者のブログ

九州大学によるEPAS1の発表について

メディア情報

九州大学の研究グループが、10日、アトピー性皮膚炎における痒み惹起物質である IL-31 の産生に、EPAS1 というタンパク質が重要な役割を演じることを発見し、その作用機序を解明したと発表しました。

 

「アトピーの○○を解明!」という毎度おなじみのニュースです。

つい先々月、東北大学が、"神経栄養因子arteminがアトピー性皮膚炎のかゆみを感じやすい状態を作り出すことを解明した" と発表したばかりです。

大気汚染物質が転写因子AhRを活性化させることで神経栄養因子arteminを発現させ、皮膚表面の表皮内へ神経が伸長し、過剰に痒みを感じやすい状態を作り出すことがわかりました。*1

 

また、アトピーの「かゆみ」に関しては、セマフォリン3Aも注目されてきました。

横浜市立大学医学研究科・五嶋良郎教授(ごしまよしお・分子薬理神経生物学)らのグループは、セマフォリン3A (Sema3A)という分子が、これまでにない画期的な薬理作用により、アトピー性皮膚炎をはじめとする難治性瘙痒性皮膚疾患の新規治療薬となる可能性があることを発見しました。*2

 

そして、今回はEPAS1だそうです。

素人には、何がどう関連しているのか、よくわかりません。

ただ、今回は、ガイドラインでも言及されている IL-31 が関わる経路であり、期待値が高いのかもしれません。

近年,Th2 細胞が産生するサイトカインの1 つであるIL-31 が瘙痒を誘導することが報告された¹¹⁾.*3

また、IL-31阻害剤としては、抗IL-31レセプターAヒト化モノクローナル抗体のネモリズマブが開発中です。ネモリズマブにとっては良いニュースかもしれません(期待の新薬ネモリズマブ)。

 

さて、九州大学のプレスリリースから一部引用し、概要を確認します。

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(図3)IL-31の産生と痒み発症メカニズムの模式図

IL-31はアトピー性皮膚炎における痒み惹起物質であり、その受容体は感覚を司る脊髄後根神経節に発現している。アトピー性皮膚炎患者さんでは、皮膚に多くのヘルパーT細胞が浸潤しており、これらは刺激に応じて大量のIL-31(黄色丸)を産生する。このIL-31産生はEPAS1に依存しており、EPAS1はSP1という分子と協調して、IL-31の遺伝子発現を誘導する。EPAS1は細胞質から核に移行して機能するが、DOCK8はMST1という分子を介して、EPAS1の核への移行を抑制している。このため、DOCK8を欠損した細胞では、EPAS1の核移行が亢進し、IL-31の産生誘導が起こる。*4

 

というわけで、IL-31の経路を阻害すれば、アトピー性皮膚炎のかゆみを断つことが期待されるとのことです。

かゆみの経路をひとつ断つだけでアトピーが解決するとも思えませんが、ここまで大々的に発表したのですから、新しい治療薬の開発につなげてほしいものです。

 

ところで、個人的には、このニュースを見て、ある思いを強くしました。

それは、「アトピーのかゆみに抗ヒスタミン剤は効かない」ということです。

私はこれまで、抗ヒスタミン剤が効いたためしがありません。皮膚のかゆみが治まったことはありません。系統の異なる2剤を併用した場合でも、変わりありません。

ですから、アトピー性皮膚炎のかゆみの経路がIL-31やEPAS1などに関係するもので、ヒスタミンが関わっていない今回の研究結果を受け入れやすいのです。

見方を変えれば、今回の発表は、皮膚科の診察で抗ヒスタミン剤を処方することが無意味であることを明らかにしたともいえるのではないでしょうか。

 

一方で、抗ヒスタミン剤は、脱ステロイドをしている患者にとっては、ある意味で重要です。

それは、診察でステロイドを拒否した際に、医師に抗ヒスタミンを処方させることで、何となく診察をした気分にさせて、診察をスムースに終えることができるからです。

医師は、ステロイドが嫌というなら抗ヒスタミン剤でも処方しておくか、という感じになりますし、患者の方は、もしかしたら効くかもしれないし、ともかくステロイドを処方されずに済んだ、という感じになります。 

また、抗ヒスタミン剤は副作用が少ないと思われます。

こういうわけなので、もし抗IL-31受容体抗体などが抗ヒスタミン剤に取って代わるとしたら、それはそれで困ったことになってしまいます。

IL-31を標的とした新薬開発が進む一方で、抗ヒスタミン剤の行く末も気になるところではあります。