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アトピー覚書ブログ

成人型アトピー 脱ステ・脱保湿患者のブログ

温泉の基礎知識

温泉

温泉と療養泉

日本の温泉法は、「温泉」を次のように定義しています。

第二条  この法律で「温泉」とは、地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)で、別表に掲げる温度又は物質を有するものをいう。 

 

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温泉法上、温度が25℃以上であれば温泉とされます。また、25℃以上でなくても、別表に掲げる物質が一定量以上含まれていれば温泉とされます。

ただし、どんな温泉でも問題なく入浴できるわけではありません。

温泉には種々の成分が含まれており,中には人体に有害な成分を含む場合があり,また用法によっては人体に害を与えることもあり得る

(「鉱泉分析法指針 平成26年改訂」)

 

そこで、鉱泉分析法指針は、温泉法にいう「温泉」とは別に「鉱泉」を定義し、さらに、鉱泉のうち、特に治療の目的に供し得るものを「療養泉」として定義しています。

温度が25℃以上、または、次の特定の物質が一定量以上含まれているものが「療養泉」とされます。

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(「鉱泉分析法指針 平成26年改訂」)

 

「療養泉」の泉質を問わず共通する「一般的適応症(浴用)」 は次の通りです。

療養泉の一般的適応症(浴用)

筋肉若しくは関節の慢性的な痛み又はこわばり(関節リウマチ、変形性関
節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期)、
運動麻痺における筋肉のこわばり、
冷え性、末梢循環障害、
胃腸機能の低下(胃がもたれる、腸にガスがたまるなど)、
軽症高血圧、
耐糖能異常(糖尿病)、
軽い高コレステロール血症、
軽い喘息又は肺気腫、
痔の痛み、
自律神経不安定症、ストレスによる諸症状(睡眠障害、うつ状態など)、
病後回復期、
疲労回復、健康増進

(「温泉法第18条第1項の規定に基づく禁忌症及び入浴又は飲用上の注意の掲示等の基準」及び「鉱泉分析法指針(平成26年改訂)」について)

 

なお、温泉の「一般的禁忌症(浴用)」は次の通りです。

温泉の一般的禁忌症(浴用)

病気の活動期(特に熱のあるとき)、
活動性の結核、進行した悪性腫瘍又は高度の貧血など身体衰弱の著しい場
合、
少し動くと息苦しくなるような重い心臓又は肺の病気、むくみのあるよう
な重い腎臓の病気、
消化管出血、目に見える出血があるとき、
慢性の病気の急性増悪期

(「温泉法第18条第1項の規定に基づく禁忌症及び入浴又は飲用上の注意の掲示等の基準」及び「鉱泉分析法指針(平成26年改訂)」について)

 

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療養泉の10種の泉質

「療養泉」は10種の泉質に分類されます。それぞれの泉質の特徴および「泉質別適応症(浴用)」、「泉質別禁忌症」は次の通りです。

1.単純温泉

特徴:刺激はマイルド

「泉質別適応症(浴用)」:自律神経不安定症、不眠症、うつ状態

2.塩化物泉

特徴:俗にいう "熱の湯" 。皮膚に塩分が付着するため、保温効果・循環効果がある。

旧泉質名:食塩泉

「泉質別適応症(浴用)」:きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症

3.炭酸水素塩泉

特徴:俗にいう "美人の湯" 。皮膚の角質を軟化する作用がある。

旧泉質名:重炭酸土類泉、重曹泉

「泉質別適応症(浴用)」:きりきず、末梢循環障害、冷え性、皮膚乾燥症

4.硫酸塩泉

特徴:陰イオンの主成分が硫酸イオン。

「泉質別適応症(浴用)」:きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症

5.二酸化炭素泉

特徴:俗にいう "泡の湯" 。炭酸ガスが皮膚から吸収され、保温効果や循環効果が知られている。

「泉質別適応症(浴用)」:きりきず、末梢循環障害、冷え性、自律神経不安定症

6.含鉄泉

特徴:空気に触れると、金色に変色する。

「泉質別適応症(浴用)」:なし

7.酸性泉

特徴:酸性が強いと入浴で皮膚にしみ、口にすると酸味がある。殺菌力が強い。

「泉質別適応症(浴用)」:アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、耐糖能異常(糖尿病)、表皮化膿症

「泉質別禁忌症」:皮膚又は粘膜の過敏な人、高齢者の皮膚乾燥症

8.含よう素泉

特徴:放置すると黄色く着色する。甲状腺機能亢進症がある場合は注意する。

「泉質別適応症(浴用)」:なし

9.硫黄泉

特徴:殺菌力が強く、表皮の細菌やアトピー原因物質を取り除く。

旧泉質名:硫黄泉、硫化水素泉

「泉質別適応症(浴用)」:アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、慢性湿疹、表皮化膿症(硫化水素型については、末梢循環障害を加える)

「泉質別禁忌症」:皮膚又は粘膜の過敏な人、高齢者の皮膚乾燥症

10.放射能泉

特徴:温泉に含まれる微量の放射能は、炎症に効果的。

「泉質別適応症(浴用)」:高尿酸血症(痛風)、関節リウマチ、強直性脊椎炎など 

 

※「泉質別適応症(浴用)」および「泉質別禁忌症」は、『「温泉法第18条第1項の規定に基づく禁忌症及び入浴又は飲用上の注意の掲示等の基準」及び「鉱泉分析法指針(平成26年改訂)」について』より抜粋。特徴は、環境省「あんしん・あんぜんな温泉利用のいろは」(平成26年8月)を基に記述。

 

国民保養温泉地

なお、「療養泉」は、「国民保養温泉地」として選定される条件のひとつでもあります。

「国民保養温泉地」とは、温泉法第29条の規定に基づく、温泉の公共的利用増進のため、温泉利用の効果が十分期待され、かつ、健全な保養地として活用される温泉地をいいます。次の選定標準に基づいて選定されます。

選定標準

第1 温泉の泉質及び湧出量に関する条件
(1)利用源泉が療養泉であること。
(2)利用する温泉の湧出量が豊富であること。なお、湧出量の目安は温泉利用者1人あたり0.5リットル/分以上であること。

第2 温泉地の環境等に関する条件
(1)自然環境、まちなみ、歴史、風土、文化等の観点から保養地として適していること。
(2)医学的立場から適正な温泉利用や健康管理について指導が可能な医師の配置計画又は同医師との連携のもと入浴方法等の指導ができる人材の配置計画若しくは育成方針等が確立していること。
(3)温泉資源の保護、温泉の衛生管理、温泉の公共的利用の増進並びに高齢者及び障害者等への配慮に関する取組を適切に行うこととしていること。

 

平成28年現在、国民保養温泉地は全国に94か所あります。

 (環境庁資料「国民保養温泉地一覧」(平成28年5月20日現在)より。温泉地の位置はおおむねの近隣の位置を示しています。)

 

参考ウェブサイト

温泉の保護と利用(環境省のウェブサイト)

日本源泉かけ流し温泉協会

Welcome to Balneology(元群馬大学医学部附属病院草津分院講師 倉林均氏作成のウェブサイト)