アトピー覚書ブログ

成人型アトピー 脱ステ・脱保湿患者のブログ

アトピーに理解はいらない

いわゆるアトピー性皮膚炎患者は、アトピー性皮膚炎のつらさを周囲に理解してもらえない、と考えることがあります。

アトピーは「かゆいだけ」の病気として軽視されることが多いからだと思います。

親しい友人や職場の同僚からも、つらさはなかなか理解してもらえません。一緒に住んでいる家族からさえも、理解されることはまれです。

非常に強いかゆみ、繰り返される悪化、夜眠れないこと。アトピーのために日常生活が支障をきたすことは数多くあります。

かゆいだけではない病気であることは、その通りだと思います。アトピー患者に対する理解が必要だという考えもわかります。

 

他方で、アトピーを理解してもらうといっても、限界があるのではないかとも思います。なぜなら、この病気は、アトピーという言葉ひとつで一括りにできない、大変にわかりにくい複雑な病気だからです。

例えば、一般的に「アトピーはアレルギーである」という認識が世間に浸透しています。しかし、アトピーがアレルギーであるかどうかは今もよくわかっていません。食物アレルギーと混同されることもあります。これを初めから説明して理解してもらうのは、専門家でも苦労することと思います。

また、重症度に応じてアトピーの状態は様変わりします。乾燥肌を保湿剤によるケアで維持している軽症アトピーの人がいるかと思えば、浸出液がダラダラ出ているほぼ寝たきりの重症アトピーの人もいます。

かゆみについていえば、アトピーに伴う非常に強いかゆみは、おそらく一般の人が生涯で経験することのない感覚です。経験したことのない感覚を理解してもらうことは、ほとんど不可能ではないかと思われます。

そして、アトピーは一概に「かゆい」病気とはいえません。私自身の例を示すと、アトピーが軽症から中等症のときは、かゆみはそれなりで、掻くと気持ちがいいときすらあります。一方、重症時では、かゆみは劇痒とでもいうべきもので、脳が溶けるような感覚を呼び起こすこともあれば、吐き気を催すこともあり、掻いた後は傷の痛みが襲ってきます。この痛みのために身体を動かすことが困難になります。すると、アトピーは「かゆい」病気から「痛い」病気に変わるのです。

このように、アトピーという病気それ自体がわかりにくく、患者一人ひとり重症度によってもアトピーは様々な側面をみせます。そのため、アトピーを説明し理解してもらうことは至難のわざで、正しく伝わらないおそれもあります。

 

原因不明で、これだけ患者が苦しんでいるのだから、アトピーを難病に指定すべきという声も聞かれます。理解が足りないから指定されないのだと考える人もいるかもしれません。

しかし、日本の難病対策は、症例数が少なく、原因不明で、治療方法が確立しておらず、生活面への長期にわたる支障がある疾患に対するものです。いわゆるアトピー性皮膚炎は、症例数が多く、ステロイド外用薬等による治療方法がある程度確立しており、短期的には寛解も可能です。そもそも期待するだけ無駄なのです。

 

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私は、ある程度の理解がされているならば、殊更にそれ以上は、アトピーに理解はいらないと考えています。

なぜなら、いま "アトピー" として苦しんでいる患者のほとんどは、ステロイド誘発性皮膚炎(ステロイド依存性皮膚症)を合併している状態と考えられるからです。

つまり、理解が必要なのは、"アトピー" に対してではなく、ステロイド薬の副作用に対してなのです。

言い方を変えれば、患者はアトピーへの理解を訴えるより先に、自分は本当にアトピー性皮膚炎なのか、本当にステロイドの影響はないのかを知る必要があるということです。

 

かつて青白い顔をしていたアトピー患者が、真っ赤な顔をするようになったのはなぜでしょうか。

四肢屈曲部に限局されていた皮疹が、手首足首の際まで全身に広がったのはなぜでしょうか。

浸出液が染み出し、シーツが血だらけになり、落屑が山のように積もるベッドで、寝た切り同然になる患者が増えたのはなぜでしょうか。

私は、昔のアトピー性皮膚炎ではみられなかったこれらの症状には、ステロイドが関与していると考えています。

 

ステロイド依存が生じたため、ステロイドを中止せざるを得なくなる患者が後を絶ちません。

中止によりリバウンドが生じると、学校や会社を休まざるをえず、場合によっては入院が必要なほどの劇的な悪化をみます。

アトピーで会社を休むのではなく、ステロイドの副作用で会社を休むのです。傷病手当金の申請書に書くべき傷病名は「アトピー性皮膚炎」ではなく「ステロイド誘発性皮膚炎」なのです。

難病指定が必要なのではありません。薬害として認定され、副作用の被害を被った患者が補償されるべきなのです。

 

「アトピーはこんなにつらい病気なのです、まるで悲劇です」と、アトピー性皮膚炎への理解を訴えることは、事の本質を捉えていないと同時に、その悲劇をそのまま受け入れることを意味します。

私は、その悲劇が、アトピーそのものではなく、ステロイドを安易に処方する皮膚科医の行為よってもたらされていると確信しています。ですから、そのような人為的な過ちによる悲劇を、そのまま受け入れることなどできません。私はそこまでお人好しではありません。

そして、これ以上悲劇が繰り返されないことを願っています。だからこそ、このブログでは、ステロイドの長期連用に伴うリスクを繰り返し指摘しているのです。

その意味で、一律にステロイド治療を推奨するアトピー性皮膚炎診療ガイドラインを改訂すべきとした、一部の医師や患者団体アトピックの訴えは意義深かったのです。

 

多彩な症状をアトピーという言葉ひとつで一括りにし、アトピーへの理解を訴えることは、本質的な問題であるステロイドの副作用を捉えていないがために、ほとんど無意味です。

日本皮膚科学会によって作り上げられた筋書き、すなわちステロイドの副作用をアトピーそのものの悪化とみなす筋書きを無批判に受け入れることは、ステロイド依存患者が次々と生み出されている現実を黙って見過ごすことに他なりません。

今も、ステロイド依存患者は作られ続けているのです。アトピーへの理解を訴える前に、今何が問題となっているのか、"アトピー" 患者にも現状を見極めることが求められています。