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アトピー覚書ブログ

成人型アトピー 脱ステ・脱保湿患者のブログ

ぜんそくのメカニズムを解明か

喘息などの難治性アレルギー疾患発症の鍵となるタンパク質を発見し、発症のメカニズムを解明したと、千葉大学の研究グループが16日発行の米Science Immunologyに発表しました。

このタンパク質に対する抗体の投与により、アレルギー疾患の発症を抑えることが期待されるとしています。

千葉大学のニュースリリースへのリンク

 http://www.chiba-u.ac.jp/general/publicity/press/files/2016/20160917.pdf

 

アレルギー疾患等の鍵となるタンパク質とは「 Myosin light chain 9/12(Myl 9/12)」です。

喘息などのアレルギー疾患は、「CD69」分子を発現した病原性免疫細胞が、血管から外へ出て、炎症組織に到達することで発症するとされます。

この免疫細胞が血管から外へ出るのを手伝っているのが、血管の内側にネット構造をつくる Myl9/12なのだそうです。

Myl9/12分子は、炎症に伴って血小板から放出され、血管の内側に付着して「ネット様構造 (Myl9 nets)」を構築します。病原性免疫細胞が血管から外に出る際に、「Myl9 nets」が“プラットフォーム”として働いていると考えられることがわかりました (『CD69- Myl9システム』と命名)。

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千葉大学ニュースリリース「ぜんそくなどの重症アレルギー疾患のメカニズムを解明 抗体の開発で革新的治療法に期待 」(2016年9月12日付)より)

Myl9 nets は好酸球性副鼻腔炎患者のポリープ中にも多く確認されたとのことで、CD69-Myl9システムが、難治性・慢性炎症疾患の要因になっている可能性があるとしています。 

 

Myl9/12はCD69分子のリガンド分子です。そこで、CD69とMyl9/12の相互作用を阻害する抗体を作成し、 喘息マウスに投与したところ、喘息が全く起こらなかったといいます。

さらに、ヒトへ投与することができる抗体の作成にも成功しているそうです。

企業との共同開発研究で、ヒトへの投与が可能なヒト型抗体の作成はすでに成功しており、実用化に向けての開発は着実に進行中です。

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千葉大学ニュースリリース「ぜんそくなどの重症アレルギー疾患のメカニズムを解明 抗体の開発で革新的治療法に期待 」(2016年9月12日付)より)

 

いつ、この新しい治療法が実用化されるのかが気になるところです。

産経ニュースによれば、研究グループの中山俊憲教授は、10年以内に喘息治療法の確立を目指しているとのことです。

中山教授は「10年以内に新たなぜんそく治療法の確立を目指す。他のアレルギー治療にも応用できるだろう」と話す。 *1

 

また、NHKニュースによれば、中山教授は、抗体がリウマチや膠原病などにも使えるかもしれないと考えているそうです。

中山教授は「慢性で有効な治療法がない人に今回の物質が使える可能性が大きい。ぜんそくだけでなく、リウマチやこう原病などにも使える可能性が十分あると考えている」と話しています。*2

 

喘息のメカニズムがCD69-Myl9システムで説明できるのであれば、開発される抗体医薬品はブレークスルーセラピーとなるに違いありません。

一般に抗体医薬は副作用が少ないと考えられています。ステロイド薬を常用せざるを得ないような喘息患者にとっては、大きな希望となるのではないでしょうか。

基本的にはTh2型免疫応答の話だと思いますので、アレルギー性疾患、自己免疫疾患、アトピー性皮膚炎などにも関連するところがあると思います。

千葉大学の今後の研究に期待します。

 

今回の研究論文は Science Immunology オンライン版に掲載されています。

Myosin light chains 9 and 12 are functional ligands for CD69 that regulate airway inflammation | Science Immunology