アトピー覚書ブログ

成人型アトピー 脱ステ・脱保湿患者のブログ

アトピー新薬の記事について

AnswersNewsというインターネットメディアに、「アトピー性皮膚炎、新薬開発が活発化・・・抗体医薬は申請間近、新たな治療選択肢に高まる期待」(2016年8月24日付)という記事が掲載されました。

answers.ten-navi.com

 

これを読んで、もやもやした気持ちになってしまいました。

この記事について、どうしても次の3つの点を指摘せざるを得ません。

 

1.著作権法違反ではないか

このAnswesNewsの記事は、どこをどう読んでも、当ウェブサイト作成の

 

期待の新薬ネモリズマブ

期待の新薬デュピルマブ

アトピー性皮膚炎の患者数(平成26年患者調査反映版)

 

の3つの記事を切り張りして構成され、言い回しを微妙に変えつつ、少々の独自取材を肉付けして、作成された記事と思われるからです。

独自の要素は、開発中の主な新薬を6種類紹介していること、ネモリズマブの売上高予測、新薬の課題が小児への適応であるとする主張、レパーサと医療保険財政の問題くらいです。

 

f:id:atopysan:20160826002731j:plain

 

ここで、当ウェブサイト「アトピー覚書」の著作権に係る規約は次の通りです。

当サイトに掲載されている個々の情報(文字、写真、イラスト等)は、著作権表示の有無に関わらず、著作権保護の対象となっています。

これら個々の情報は、写真、イラスト及び無断転載を禁じる旨の注記がある場合を除き、引用等著作権法上認められた行為として、適宜の方法により出所を明示することにより、当サイトの許諾なしに利用することができます。

当サイトに掲載した情報は、当サイトに無断で改変を行うことはできません。

著者が匿名であっても、その著作物は、著作権法上の著作物として権利保護の対象となります*1

また、写真とイラストは引用も禁じています。

さらに、当サイトに掲載した情報は、当サイトに無断で改変を行うことができない旨を明記しています。

 

何も著作権法に違反する危険を冒す必要はありません。もし引用の範囲を超えて転載したいのなら、当サイトへ転載許可を依頼すればよいのです。余程の不都合がない限り、喜んで転載許可すると思います。あるいは、当サイトへリンクを張ればよいのです。リンクには許可など要りません。

どうしてもひとつの記事としての体裁を保ちたいのなら、独自取材を主とした記事を書くべきです。AnswersNewsの当該記事は、著者が誰なのかが明記されていません。言葉の言い回しなどから推測するに、おそらく素人のライターさんが時間をかけずにやっつけ仕事で書いたものと思われます。

例えば、記者のようなプロの物書きが、切り張りを元に記事を作成したことが明るみに出れば、記者生命は終わります。ですから、プロは絶対にこのような記事は書かないはずです。

いずれにせよ、無断改変をされることは、著者にとって気持ちのよいものではありません。

 

2.アトピー新薬の課題は小児への適応?

AnswersNewsの当該記事は、アトピー性皮膚炎の新薬における課題として「小児」と「薬価」を挙げています。「小児」についての該当部分を引用します。

1つは、小児に対して使えるのかどうか。成人患者が増加しているとはいえ、アトピー性皮膚炎患者の3分の1は15歳以下が占めます。一方、各社が行っている臨床試験は成人を対象としたものがほとんど。今後の開発で、対象となる患者の年齢をどこまで下げることができるかが、1つのカギになると考えられます。

新しい薬を子供にも使えたら良いのに、という考え方のようです。

 

私の考えを述べます。抗体医薬をはじめとするアトピーの新薬は、未知の薬です。体にどんな影響があるのか、治験で全てが明らかになるわけではありません。とりわけ長期使用による影響が懸念されます。なぜなら、ステロイドもプロトピックも、大抵は数年から数十年という長期使用により問題が生じているからです。

そもそもアトピー性皮膚炎に対する抗体医薬は、ステロイドやプロトピックでも治療に奏功しない中等症から重症アトピー性皮膚炎患者を対象としており、治療に難渋している成人患者が望みを託すような薬であって、いきなり「小児」へ適応させるような薬ではないと思います。

私が考える課題は、「どうしたら子供にも使えるか」ではなく、安全性が確認されるまで「どうしたら子供に使わせないであげられるか」です。

 

3.高まる期待?

AnswersNewsの当該記事のタイトルには「新たな治療選択肢に高まる期待」という言葉がみえます。記事全体のトーンも、抗体医薬は大変に期待できる薬で、ネックは薬価くらいのものであり、「アトピー性皮膚炎の治療は大きな転換点を迎えることは間違いありません」とまで言い切っています。

一方、当サイトの記事「期待の新薬デュピルマブ」も、期待の新薬という枕詞がついています。これは、一般的には期待されるだろうことを見越して、このような枕詞をつけたわけです。私個人としては、興味はあるものの、期待はしていません。

臨床現場で実用化されたとしても、今のところ使用するつもりはありません。長期(数年~数十年)の安全性が確認されていない薬を使用するのが怖いからです。それが、免疫抑制剤による副作用を経験した者としての率直な気持ちです。

 

AnswersNewsの当該記事を読んで引っ掛かるのは、「副作用」の情報が全く欠けているにもかかわらず期待感をあおっているところです。

例えば、抗体医薬のデュピルマブは、治験や論文などから治療効果が高いことが推察される一方で、副作用のひとつとして結膜炎が報告されています。

両試験において、dupilumab 群においてより多く見られた有害事象は、注射部位反応(dupilumab 群で 10-20%、プラセボ群で 7-8%)、結膜炎(dupilumab 群で 7-12%、プラセボ群で 2%)でした。どちらの試験においても、患者の約 26%に試験組み入れ時点でアレルギー性結膜炎の既往がありました。注射部位反応による投与中止例はなく、結膜炎での投与中止が 1 例のみありました。*2

 

デュピルマブが原因かはわからないものの、治験中に眼が真っ赤になり、ステロイド点眼薬を使わざるを得なかった患者もいるようです。

ともあれ、医薬品など健康に関わる話題については、ベネフィットとリスクの両方を含めた情報提供が行われるべきではないでしょうか。

AnswersNewsが製薬業界のニュースを扱っているところからすると、製薬業界にとってマイナスとなるリスク情報は好ましくないということかもしれません。もしそうであれば、その点は差し引いてこのメディアの記事を読み取る必要がありそうです。

*1:著作権法第2条第1項

*2:サノフィ株式会社プレスリリース(2016年4月8日付)より