アトピー覚書ブログ

成人型アトピー 脱ステ・脱保湿患者のブログ

私のアトピー歴(その3)

脱保湿~汗をかけるようになるまで

脱保湿後の問題

私は、ステロイド外用薬の使用中に副作用が生じたため、いわゆる「脱ステロイド」を行いました。その後しばらく保湿剤を使用していましたが、保湿依存症というべき状態になったため、いわゆる「脱保湿」を行いました。

脱保湿直後の離脱症状は次のようなものでした(過去記事より転載)。 

  • ほぼ全身に発疹、皮膚が発赤して熱い、体温は37℃超
  • 首・腕・腹のひどい乾燥 体を動かすと痛い
  • 額と耳からの浸出液が止まらない
  • かゆみは強くないが、睡眠導入剤を飲んでも夜は寝付けない
  • 発汗が大きな増悪因子
本当にひどい状況でした。それでも、まったく外用剤を使っていないところに救いがありました。細菌感染時には、医師から処方を受けて抗生物質を内服しました。
脱保湿は必要か不要か? - アトピー覚書

 

このように、全身の皮膚は赤く腫れて傷だらけで一部浸出液が出ていました。そして季節は夏であり、「発汗が大きな増悪因子」でした。汗をかけば、筆舌に尽くし難い猛烈なかゆみに襲われるのです。私は、このかゆみを理解してくれる人もなかなかいないだろうと思い、誰かに相談することもできませんでした。そこで、どう対処したらよいかを自分なりに考えました。

 

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発汗に慣れることが目標

汗によってかゆくなる原因は、おそらく複数の要因が絡み合っているのだろうと感じていました。

  • 一つめは、皮膚表面に「傷」があること。
  • 二つめは、皮膚内部で「炎症」が起きていること。
  • 三つめは、汗に何らかの「アレルギー」反応を起こしていること。

これらにどう対処するか。「傷」と「炎症」は、時間が経てば治ります。汗の「アレルギー」については、汗に慣れるしかないと考えました。

なぜなら、季節的には、汗をかきはじめる5月から6月ごろの汗が最もかゆく、7月や8月はそこまでかゆくはなりません。1日のうちでは、その日の最初の汗が最もかゆく、以後はそこまでかゆくなりません。発汗時では、汗のかき始めが最もかゆく、以後はそこまでかゆくなりません。そのため、汗のかゆみに対してある程度は慣れることがあると感じていたからです。

こうして、傷と炎症を治しつつ、少しずつ汗に慣れていくとの結論に至りました。

 

発汗を避ける

そうはいっても、事は簡単ではありませんでした。汗をかくと猛烈なかゆみで掻きむしってしまい、傷と炎症が悪化してしまうからです。積極的な発汗を促すには明らかに時期尚早でした。

そこでまず、汗に慣れることは後回しにして、できる限り汗をかくことを避け、睡眠と栄養によって傷と炎症を少しずつ治していく方針としました。

睡眠をとるといっても、夜はほとんど眠れなかったことを思い出します。睡眠導入剤を内服することもありました。けれども、レンドルミンは徐々に効かなくなる感じがあり、マイスリーやサイレースは効きすぎて、いずれにしても睡眠をうまくコントロールできませんでした。そのため内服を止めました。当時を振り返ると、眠れなかった長い長い夜の記憶が思い起こされます。

栄養は、バランスを良くすることを基本に、タンパク質が不足しないように気をつけました。一時、プロテインパウダーを試しましたが、効果のほどはわかりませんでした。悪いことはないだろうけれども、目に見える改善もなかったという感じです。

また、脱風呂が効果的だったのはこの頃と記憶しています。

このように、発汗による悪化をできる限り避けながら、少しずつ傷と炎症を治していきました。

 

発汗を繰り返す

数ヶ月後、全体的に皮膚症状が改善してきたので、ジョギングを開始しました。脱保湿をする前から、時間があれば運動としてジョギングを行っていたので、自分にとっては汗をかくための手っ取り早い方法でした。

しかし、発汗による苦難は続きました。汗をかくと、まだまだ強烈なかゆみがあります。かゆみを我慢するために、走ることができず、立ち止まってしまうこともありました。とりわけジョギングを終えた直後に強いかゆみが襲ってくるので、シャワーへ直行します。シャワーを浴びれば良いというものでもなく、浴びている最中に掻きむしってしまうことは多々ありました。

さらに、脱保湿特有の試練が追い打ちをかけます。シャワー後の乾燥です。皮膚が濡れた後に、ものすごい勢いで皮膚が乾燥していくのです。

これが確か痛いものだったと記憶しています。痛みで居ても立っても居られない状態になります。

もちろんかゆみもあります。そのかゆみは、局所のかゆみのような生易しいものではなく、脳に来るかゆみでした。

当時、シャワー後の30分は阿鼻叫喚の世界でした。「うーうー」うなりながらしゃがみこんだり、呻きながら歩き回るなどして、苦しみを紛らわせました。

 

それでも、ジョギングをやめませんでした。辛いことは辛いのですが、ジョギングを行うごとに、ほんの少しずつ皮膚症状が良くなっていく実感があったからです。

さらに、何度もジョギングを繰り返しているうちに、汗に慣れていくことを実感することとなりました。ジョギング中に立ち止まらざるを得ないほどかゆくなることは無くなりました。シャワーを浴びている最中、掻きむしる頻度が少なくなっていきました。シャワー後の乾燥地獄も、少しずつ和らいでいきました。

 

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運動中の発汗でかゆくなるケース

当時、ジョギングをしながら気づいたことがあります。それは、皮膚に「傷」があると、その傷が汗でかゆくなることが多いこと。また、見た目に傷がなくても、うっすら赤く皮膚内で「炎症」が残っているように感じられる場合に、汗でその部分がかゆくなること。他には、じわりとかく汗はかゆいけれども、運動で大量に発汗する場合はかゆみが少ないこと、などです。

 

汗をかけるようになる

ジョギングによる発汗で少しずつ改善していく実感があったので、ほかの治療を試したいと思うことはありませんでした。例えば、ステロイドや保湿剤を使いたいとは微塵も考えませんでしたし、実際に全く使用しませんでした。

結果として、汗を克服したとはいえませんが、ある程度は汗に慣れることができました。そして、ステロイドおよび保湿剤を使わずに日常生活を送れるまで回復することができたのです。

 

この話に教訓(私にとっての)があるとすれば、ふたつあります。

  1. 発汗によるかゆみが非常に強い場合は、発汗のかゆみに耐えられる程度にまで皮疹を回復させておく。
  2. 汗によるかゆみが強くても、何とか我慢できるのであれば、発汗を繰り返した方が改善する可能性が高い。

ジョギングを再開したのは、何とか汗のかゆみに耐えられると判断したときでした。重症時に無理に汗をかくと、かゆみが強すぎて挫折してしまうと思います。その一方で、汗をかかなければ先へは進めませんし、それもかゆみに耐えつつ繰り返し発汗する必要があります。このあたりのさじ加減が非常に難しいところだと思います。

この点、発汗を繰り返すうちに、外用剤を使わなくても皮疹が軽快してくるという報告があります。この報告内容は、私の経験と照らし合わせても、まったくその通りだと思います。

AD における発汗低下は,患者が発汗による搔痒の増悪を恐れるあまりに発汗を起こすような刺激を避けてきた結果と考えるのが妥当かもしれない.そういう患者に対して発汗を起こすような刺激を繰り返すと発汗機能が回復し,それとともに皮膚が乾燥しなくなるために掻破回数も減り,皮疹も軽快してくる.その際,多くの患者でみられたのは,発汗することによる搔痒の一時的な増加である.しかし,それを我慢して続けていくうち,発汗が日常的にみられるようになると,外用剤をあまり熱心に外用しなくても皮疹は軽快してくる.*1

 

今振り返れば、私は随分とおかしなやり方を続けてきたのかもしれません。ばかばかしいほどに遠回りをしてきたのかもしれません。

とはいえ、決して褒められたものではないものの、脱ステロイドと脱保湿(離脱症状からの離脱)に成功したことは事実です。

外用剤に振り回される生活から解放されたのです。良いにしろ悪いにしろ、私のアトピー歴の中で、大きな節目となりました。

なお、脱ステロイドと脱保湿は安易に行うと危険です。そして、いわゆるアトピーが完治するわけではありません。また、繰り返し汗をかいても必ず改善するとは限りません。金属アレルギーやコリン性蕁麻疹などの疾患を併発している可能性もあります。上記は治療法の推奨ではなく、個人的な覚書にすぎません。

 

(当サイトはいかなる治療法をも推奨するものではありません。また、当サイトに掲載されている情報を利用することにより発生したいかなる損害についても責任を負うものではありません。)

(引用部分の赤字による強調表示は当サイトによります。)

*1:塩原哲夫, アトピー性皮膚炎と発汗 ―発汗はアトピーに良いか悪いか?, 医学のあゆみ Vol.228 No.1