アトピー覚書ブログ

成人型アトピー 脱ステ・脱保湿患者のブログ

ガイドラインの改訂から考える

ガイドラインは死ななきゃ直らない

先月、アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016年版が公表されました。

このガイドラインは、事実上一部の患者を対象としたものであって、すべてのアトピー性皮膚炎患者を対象とはしていません。一部の患者とは、標準治療が有効である患者または標準治療が一定期間有効である患者のことです。

それ以外の患者、すなわち標準治療に反応を示さない患者または副作用がみられた患者への対策は掲載されていません。

標準治療に反応を示さないのは、患者自身に起因する ”不適切な治療" が理由であるとして、患者のアドヒアランスを高めるための教育が必要であるという姿勢です。

一部の患者団体などから、標準治療に適応しない患者を想定したガイドラインへの改訂を求めた動きがありましたが、今回の改訂でも基本的に従来の方針を踏襲した形に終わりました。

多くのアトピー患者らが、免疫抑制剤を第一選択薬とする治療法を望んでいないにも関わらず、この数十年、状況は変わっていません。厚生労働省も問題視していないようですし、マスメディアは相変わらず日本皮膚科学会の宣伝部門として機能しています。

この状況が変わらない大きな理由のひとつは、症状の悪化と副作用との因果関係を立証するのが困難であるからだと思います。訴訟を起こすにしても証拠が限られています。また、他の理由として、患者に重篤な副作用が生じたとしても死亡にまで至ることはないからだと思います。

医学の進歩により、免疫抑制剤の作用機序がさらに解明され、副作用を明らかに判別できるようになれば、一気に風向きが変わる可能性があります。しかし、それが何十年後のことになるかはまったく予想がつきません。

 

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ガイドラインから置き去りにされた患者は

では、標準治療によって副作用を生じた患者はどうすればよいのでしょう。

アトピー教室で教育を受けることでしょうか。正しい薬の使い方を教えてもらえるようです。しかし、それは問題の先延ばしに過ぎません。

アリとキリギリスの話のようなものです。私は、脱ステ患者はアリで、標準治療患者はキリギリスにみえます。夏の間、アリは脱ステロイドで辛い思いをし、キリギリスはステロイドを塗って夏を謳歌しているようにみえます。ただし、この例え話に、冬が来るかどうかはわからないのですが。

話を戻すと、私の場合は、副作用の原因である免疫抑制剤を使わずに、皮膚症状を安定させることがテーマなのです。今考え得るそのテーマの答えは、「コストを引き受ける」ということなのではないかと思います。

皮膚科医を受診すれば、アトピー性皮膚炎診療ガイドラインに沿った治療が施されてしまいます。ステロイドやタクロリムスを推奨され、それを拒めばあなたの考え方は間違っていると説教され、嫌な思いをすることはわかりきっています。ですから、嫌な思いをしたくなければ、皮膚科医を受診しなければ良いのです。

それでも、問題は残ります。

例えば、皮膚症状の悪化に伴い、細菌・ウイルス・真菌感染症を併発する可能性があります。伝染性膿痂疹、カポジ水痘様発疹症、脂漏性皮膚炎などです。

この場合、何らかの治療が必要になると思われますが、一般の皮膚科医を受診すれば、感染症対策の後、皮膚炎対策として免疫抑制剤を処方されたり、教育的指導を受ける可能性があります。

そこで、脱ステロイド療法を行う医師を受診することになるわけです。ただ、脱ステ医は全国津々浦々にいるわけではありません。また、脱ステ医といっても治療内容は必ずしも一定ではないため、自分にとって最適な脱ステ医は世界にただ一人しかいないという状況があり得ます。

そのため、どうしても時間と費用がかかってしまうのです。例えば、北海道に住んでいる人が、大阪の阪南中央病院を受診するには、相当のコストがかかることでしょう。

また、私は、温泉での湯治が皮膚病に有効であると考えています。この湯治をする場合も、自分の皮膚に合った泉質の温泉が遠方にあれば交通費がかかりますし、湯治にはそれなりの期間が必要となるので宿泊費もかかります。

「コストを引き受ける」というのは、例えばそういうことです。

ガイドラインが変わらないのであれば、つまるところ、高いコストを払いながら自分の身を自分で守るしかありません。

 

新薬の登場と海外の動向

上記のように、コストのことを考えると、自らの希望する治療が全国で受けられるに越したことはありません。

やはり、患者としては、ガイドラインが免疫抑制剤等の副作用を認め、外用剤を使用しない治療も広範に認める日が来るという一縷の望みを持ちたいのです。

ガイドラインの方針変更に影響を与えるものとしては、新薬の登場、海外の動向などがあると思います。

現在開発が行われている新薬については、副作用が少ないことが謳われていますが、どちらかというと、免疫反応を抑制して皮膚症状を一生薬でコントロールするという考え方に基づいていると思われます。ですから、現行ガイドラインの方針には影響を与えないでしょう。新薬の登場は、標準治療患者にとっては良いニュースかもしれませんが、脱ステ患者にとっては、ますます肩身が狭くなるものと思われます。

一方、海外の動向としては、最近、ステロイド外用薬等の依存やリバウンドについての認知が進んでいるようです。欧米でこれらの副作用が認められてガイドライン等に記載されれば、日本のガイドラインは欧米のガイドラインのカーボンコピーのようなものなので、すぐにでも反映されることが想定されます。最も現実的で期待できるのは、この海外の影響だと思います。

 

いずれにせよ、結論として、今回のガイドライン改訂は、従来からある問題に対しては何らの解決ももたらさないと思います。一部の患者の不満を大きくしただけです。今後も、ガイドラインなど関係なく、自己流の治療を行う患者が増えることと思います。