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アトピーにミドリムシ?

最近、私のアトピーを心配してくれる知人から、「ミドリムシを飲んでみたら?」と勧められました。

こういうときにどう返答をしたらよいのか、まだ良い言い方が見つかりません。とりあえずその場は適当にお茶を濁しました。

それはさておき、ミドリムシ(ユーグレナ)が、クッキーやヨーグルトなど、様々な食品に配合されて市場で販売されていることは知っていました。けれども、アトピー性皮膚炎に対する効果については知らなかったので、少し調べてみました。

 

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ユーグレナのアトピー性皮膚炎に対する効果について、鳥取大学と株式会社ユーグレナとの共同研究による次の論文があります。なお、株式会社ユーグレナは、その名の通りユーグレナを研究開発・製造販売している企業です。

Sugiyama A et al. Oral Administration of Paramylon, a β-1,3-D-Glucan Isolated from Euglena gracilis Z Inhibits Development of Atopic Dermatitis-Like Skin Lesions in NC/Nga Mice. J.Vet.Med.Sci.72(6):755–763,2010.

 

論文は、ユーグレナ・グラシリスZ由来のβ-1,3-D-グルカンの一種である「パラミロン」の経口摂取により、アトピー性皮膚炎様皮膚モデルマウスの症状が緩和されたとするものです。

具体的には、パラミロン摂取群では、用量依存的に、血清IgE、IL-4、IFN-γ、IL-18、IL-12濃度の上昇が抑制されたとしています。

 

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上図は、縦軸に組織学的皮膚炎スコアをとったものです。Prednisolone プレドニゾロン(ステロイド)と1.0%パラミロンで有意差ありとの結果です。

 

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上図は、縦軸に血清総IgEをとったものです。こちらも、プレドニゾロンと1.0%パラミロンで有意差ありとの結果です。 

結局、ステロイドの効果には遠く及ばないのではないかという印象を受けますが、パラミロンではステロイド投与群でみられた体重減少が起きなかったということで、その点においてステロイドに対する優位性を主張しているようです。

論文は、これらの結果から、パラミロンによる治療は、アトピー性皮膚炎に対する有効な代替治療となり得るとしています。

なお、花粉症モデルマウスを用いた研究では、パラミロン摂取群においてIgEの低下が認められなかったという結果も出ています*1

 

さて、上記論文はマウスでの研究ですが、株式会社ユーグレナはヒトでの研究も行っています。

ヒト10名に対してパラミロン(1g/日)の8週間継続摂取を依頼し、摂取前後に採血して免疫機能への影響を調査したところ、IFN-γの増加と、IL-4の減少がみられたとのことです*2

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個人的には、以上の情報を踏まえたうえで、ユーグレナに食指が動くことはありませんでした。サンプル数および研究自体の数が少ないこと、メーカー関与の研究でありバイアスが存在する可能性があることなど、さまざまな理由からです。

 

さて、ここまでユーグレナの良いと思われる側面について紹介してきましたが、その反面についても記しておきたいと思います。

国立健康・栄養研究所が提供するサイト、「健康食品」の安全性・有効性情報〔独立行政法人 国立健康・栄養研究所〕に、素材情報データベースがあります。

このデータベース内に「ミドリムシ、ユーグレナ」の項目があり、ミドリムシのサプリメント摂取による被害事例が掲載されています(2016年1月現在)。

このサイトはデータの引用を禁止しているので、興味ある方はご自身でアクセスしてチェックしてみてください。

 

今や本当にいろいろなものがアトピーに効くと宣伝されています。それだけアトピーはビジネスになるということなのでしょうか。

いずれにせよ、これはミドリムシに限ったことではないのですが、仮にステロイドを引き合いにして、アトピーの代替治療になる旨の主張がなされた場合は、なかなかアトピー患者の賛同を得るのが難しいのではないかと思います。

ステロイドの抗炎症効果はまさに劇的なものがあり、安全性については議論がありますが、その有効性は誰もが認めるところです。その代替となり得るのは今のところタクロリムスなどの強力な免疫抑制剤であることも異論は少ないでしょう。

つまり、ステロイドの代わりになる、という一言は、患者にとっては相当に重みのある言葉です。代替治療の有効性を謳う場合には、その点の認識が必要になるように思います。

 (当サイトはいかなる治療法をも推奨するものではありません。また、当サイトに掲載されている情報を利用することにより発生したいかなる損害についても責任を負うものではありません。)

*1:Koizumi M et al. Effect of euglena on cedar pollen allergies in cry j1-sensitized mice. Journal for the Integrated Study of Dietary Habits 01/2013; 24(3):171-176.

*2:ニュースリリース | お知らせ | 株式会社ユーグレナ - ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の研究開発・製造・販売