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アトピー覚書ブログ

成人型アトピー 脱ステ・脱保湿患者のブログ

わからないと言っていい

医師が患者を観察するのと同じように、患者も医師を観察しています。

アトピー性皮膚炎患者であれば、医師に対して次のような評価項目をもっていることでしょう。

  • 皮膚をしっかりと診てくれるだろうか。
  • 私の話を聞いてくれるだろうか。
  • 私の希望する治療を受け入れてくれるだろうか。

こうした評価項目に照らして、医師が信頼できるかどうかを見定めているはずです。

私は、皮膚科医が、皮膚をちらと見るだけだったり、話を面倒臭そうに聞いていたりしていれば、信頼できないばかりか、正直に話をすることすらできなくなります。

そして、診察を手短かに終わらせたいという心理が働き、従順な患者を装うのです。

 

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私は、優れた医師と、そうでない医師を見分けるための基準をもっています。

その基準とは、患者が医師に対して質問を投げかけたときに、医師が答えを持ち合わせていない場合において、医師が、

「わからない」

と言えるかどうかです。

 

私の個人的観察から、優れているとはいい難い医師たちは、往々にして、自分が答えを持ち合わせない質問を受けた場合に、次のような行動をとります。

  • 「その答えは、何々です」と、素気なく断定的に答えて患者に有無を言わせない(患者には医師がぞんざいに答えていることが態度から伝わっている)。
  • 専門用語を並べ立てて、患者をけむに巻く。
  • 別の話題を持ち出すなど、話をそらしたまま、結局質問に答えない。

なかには、機嫌を損ねたり、怒り出すような医師もいます。

 

一方、私が考える優れた医師たちは、答えを持ち合わせない患者からの質問に対して、率直に「それはわかりません」と答えるのです。思うに、その医師には「わからない」と言えるだけの余裕があるのです。

その余裕が生まれる理由のひとつは、その医師が、担当する診療科における最新の医学情報を常にアップデートしているために、質問の答えが現時点で解明されているか否かがわかっているからでしょう。つまり、わからないことがわかっているのです。

加えて、その医師がわからないと答えて患者の顔色が曇ったとしても、患者の落胆を補いうる別の答えを持ち合わせているのです。あなたの質問に直接答えることにはならないけれども、こう考えるべきだ、あるいは、この治療を行うべきだ、というように。

そうした医師は、患者がどんな質問をしてきても適切に答えられる余裕があるので、患者の話も聞き入れることができます。そして、わかりやすい言葉を選ぶことができ、患者に納得してもらう努力を惜しみません。

私は、医師には、わからないことについては「わからない」と言って欲しいと思います。憶測で回答されるよりまだ良いです。

 

話はやや逸れますが、私が経験した最悪の診察は、3分診療ならぬ、3秒診療です。再診だったのですが、初診の検査結果の紙を渡されて、「問題ないです」と言われて、終わり。患部を見ることはおろか、患者の顔すらまともに見ることはありませんでした。

その次に悪かった診察は、患者の話をさえぎるというものです。医師が所見を述べたあとに、私が質問をしたら、途中で質問をさえぎりつつ、一方的に「診察はこれで終わりです」と言われてしまいました。本当にそのような医師が存在するのです。

しかし、考えてみれば、やみくもにステロイド薬を処方する医師よりはましかもしれません。結果として、下手な治療を受けずに済むわけですから。

 

さて、昨今はインフォームド・コンセントの考え方が浸透してきたように感じます。これからは、昔のように、お医者様の言うことを御宣託のように頭を下げて拝聴する、という診察風景は少なくなっていくのではないでしょうか。例えば、今がん治療においては、患者自身の意思決定が大変に尊重されています。

しかし、アトピー性皮膚炎の診療においては、このインフォームド・コンセントが歪められた形で取り入れられています。それは、ステロイド忌避の患者を教育するというおこがましい発想が存在することからも明らかです。これは、裏を返せば、医師のコミュニケーション忌避でもあります。

患者との相互コミュニケーションを避け、ステロイド忌避の患者を教育し、ステロイドを使用させたとして、アトピーは治癒するのでしょうか。1年後、5年後、10年後、死ぬまで寛解は維持できるのでしょうか。薬を止めることはできるのでしょうか。再燃はないのでしょうか。

わからない、と言ってもいいのです。でも、わからないのなら、当然ながら、なぜその治療をすすめるのか患者が納得するように説明しなければなりません。そこから、患者とのコミュニケーションを始めなければなりません。皮膚科にも優れた医師がいることを示して欲しいと思います。