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ネット情報の信頼性

過去の記事「妊娠中のステロイドは安全か?」で、インターネット上に散見される「妊娠中のステロイドは安全である」という情報の不確かさについて取り上げました。

そのなかで、Doctors Meというサイトが、

"ステロイド剤使用による、奇形児の報告は一例もない!"

という誤った情報を発信していることを引用して示しました。

 

最近、偶然にも、そのDoctors Meによる記述の転載元と推測されるサイト(以下、サイトAという。)を発見しました。言葉尻などを多少変えていますが、両サイトの内容はほぼ同一であり、転載しているようにみえます。ともかく一目瞭然なので、両サイトから引用します。

 

次が、Doctors Meによる記述です。2014年に公開。

あるステロイド剤の添付文書には、「妊婦に対する安全性は確認されていません。妊婦または妊娠している可能性がある婦人に対しては、大量または長期にわたる広範囲の使用は避けること」などと記載されています。

これは、あるステロイドを妊娠中のウサギ(7~18日間〈器官形成期〉)に塗布(0.5g/kg/日)したところ、「胎児生存が低下」したり「口蓋裂を発症」したという報告を受けたことによります。

しかし、動物と人とでは代謝経路も、胎児の成長課程も異なります。つまり、ウサギのようなことが人に当てはまるかというと、そうではないということ。

実際に、妊娠中にステロイド剤を使用したことが原因で胎児に問題が発生したり、奇形児を出産したという報告は、一例もありません。*1

次が、サイトAによる記述です。2002年に公開。

あるステロイド外用薬の添付文書には、「妊婦に対する安全性は確認されていないが、妊婦または妊娠している可能性がある婦人に対しては、大量または長期にわたる広範囲の使用は避けること。」などとなっています。(中略)

実は、これはあるステロイドをウサギで妊娠7~18日(器官形成期)に塗布(0.5g/kg/日)したところ、胎児生存の低下とか口蓋裂が起きたと報告されているからなのです。(中略)

もちろん、動物と人とは代謝経路も胎児の成長もちがうので、こんな計算通りにはいきません。

でも、現実に、妊婦さんにステロイド外用薬を使用して、胎児になんらかの影響はでたとか、奇形児を出産した原因がステロイドだったとかいう報告は1例もないそうです[皮膚病診療,5(3):290,1983]。*2

 

Doctors MeがサイトAに転載の許可を取っている可能性もあるのですが、引用という形式をとらず、言葉尻をちょこちょこ変えているところからすると、無断転載をしている可能性も考えられます。

そのことは百歩譲るとしても、呆れてしまうのは、「ステロイド剤使用による、奇形児の報告は一例もない!」という主張の根拠が、1983年の論文1つに拠っていることです。1983年以降、ステロイド剤による胎児への副作用に関しては様々な報告が寄せられています。

Doctors Meの該当記事の公開は2014年です。もし、サイトAを参考に記事を書いたのであれば、1983年という30年以上前の論文を根拠にして、ステロイドの胎児に対する安全性を主張していることになるのです。唖然とします。

さらに、その記事は、医師による監修を受けたものとして、権威づけされているのです。

 

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インターネット上の情報は玉石混交といわれます。このように指摘すること自体が馬鹿馬鹿しいことなのかもしれません。

それでも今回言及せずにいられなかったのは、赤ちゃんに影響することだからです。

ランクの強いステロイド薬を大量に使用しなければ、副作用は生じないかもしれません。それでも、赤ちゃんにとっては、自ら望まないリスクを負うことになります。

もちろん、妊婦の方がリスクを承知のうえでステロイド薬を使用するのであれば、何も言うことはありません。

しかし、30年以上前の、あまりにも古く信頼性に乏しい情報を妊婦の方に提供して、しかも安全だと吹聴するのは、あんまりではないでしょうか。

最近ネット上で、医師による監修を受けたとする医療情報を目にする機会が多くなりました。ただし、この事例が示すように、医師が監修しているからといって、正確であるとは限らないことを認識する必要があるように思います。

 

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