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アトピー覚書ブログ

成人型アトピー 脱ステ・脱保湿患者のブログ

アトピーのことをよく知らない人へ

アトピー覚書

最近、アトピー性皮膚炎の患者が増加しているといわれています。

なぜアトピーが増えているのでしょうか。

当サイトをご覧になっている方のなかには、普段アトピーとの関わりが少なく、アトピーをめぐる状況について詳しくない方もいらっしゃると思いますので、この点につき、患者としての実感を踏まえた個人的な見解を示したいと思います。

 

まず、アトピー増加の原因として指摘される、食生活・住環境の変化、社会生活上のストレスなどは忘れて下さい。いずれも決定的な科学的根拠に乏しく、影響があったとしても軽微なものです。

アトピー性皮膚炎は、確定診断が難しいわりには、容易に診断がつけられてしまう病気です。かゆみだけでなく、特徴的皮疹と分布、慢性・反復性経過があることを確認し、かぶれやあせも、脂漏性皮膚炎、皮脂欠乏性湿疹などを除外して診断する必要があります。この詳細については、日本皮膚科学会がガイドラインでアトピー性皮膚炎の定義や診断基準を示しています。ところが、皮膚科臨床において基準が厳密に適用されているとは言い難く、患部の一部をちらと見ただけで、とりあえずアトピー性皮膚炎と診断されます。同時に、必ずといっていいほど、ステロイド外用薬が処方されます。

ステロイド外用薬は良く効く薬ですが、一部の患者で、皮疹の再発を繰り返す場合があります。さらに薬の使用が長期にわたると、依存状態に陥る患者が出てきます。つまり、ステロイド外用薬により皮疹の悪化が誘発され、あるいは、炎症が遷延化しているといえます。したがって、この症状は、アトピー性皮膚炎というよりも、ステロイド誘発性皮膚炎と呼ぶべき症状です。

要するに、アトピー性皮膚炎が増えているのではなく、処方薬の副作用としてのステロイド誘発性皮膚炎が増えているのです。

  

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上のグラフは、アトピー性皮膚炎、すなわち、実態としてのステロイド誘発性皮膚炎とステロイド外用薬生産量との相関関係を示しており、ステロイド生産量と成人患者数との正の相関がみてとれます。

また、最新の患者調査(2014年)では、40-44歳(1970-1974年生)のアトピー性皮膚炎患者が多数にのぼることが示唆されました。この患者群は、ステロイド外用薬が認可を受け、臨床現場に浸透し始め、他の治療薬に取って代わっていった過渡期に、皮膚科を訪れた最初の世代と思われます。この世代以降、成人になってもアトピーが治らない患者が存在するようになります。

 

これらの事実は、厚生労働省や皮膚科学会にとっては、大変に不都合なものです。そして、これまでステロイド外用薬による治療を推奨してきたので、急に方針転換することができないのです。

事なかれ主義の厚生労働省は、まったく動きをみせていません。ほぼ皮膚科学会に政策を委ねているようにみえます。

その皮膚科学会は、方針転換するどころか、ステロイド外用薬は安全であるというキャンペーンをマスコミを巻き込んで開始したのです。

なお、製薬会社は、ステロイド外用薬によって、酒さ様皮膚炎などの副作用が起こり得ることや、長期間使用しない旨の注意書きを、添付文書において明記しています。しかし、これらの情報は、診察時においてまず説明されません。

また、問題を複雑にしている点があります。それは、アトピー性皮膚炎以外の自己免疫疾患等でステロイド薬が非常に有効な薬として使用されている点、そして、アトピー性皮膚炎患者のなかに長期使用によっても依存状態に陥らない患者が一部おり、処方が続けられている点です。つまり、現にステロイド薬を必要としている患者がいることです。そのため、厚生労働省や皮膚科学会がステロイド薬を推奨することは、ある面では正当性があるともいえるのです。

さらに、皮膚科医と患者で争った川崎ステロイド訴訟で、皮膚科医側が勝訴したことも、彼らの主張する正当性に根拠を与えています。

とはいえ、アトピー性皮膚炎患者の一部が、ステロイド外用薬の副作用に悩まされている事実に変わりはありません。皮膚科学会がこうした患者たちに対してとってきた態度を知ることは、アトピーの現状を語るうえで欠かせません。

塗り方が悪い、親の愛情が足りない、掻くのが癖になってるから治らない、などと患者側に責任があると決めつける。患者がステロイドを使わない医師の元に駆け込むと、その医師らを学会において弾圧し、不適切治療だとレッテルを貼ったうえでマスコミでも宣伝する。追い詰められた患者1万6千人が、ステロイドを使用しない治療を選択できるよう学会へ署名を提出しても、一切返答せずにしらを切る。自浄作用を望むべくもありません。

現在も皮膚科学会は、ステロイド外用薬が一部の患者に対して有効でない事実を認めていません。むしろ、怖がらずにたっぷり塗ることを指導し、一生塗り続けることもあり得るとし、乳幼児にも適応とするなど、どのような患者に対してもステロイド薬の使用を推奨しています。

こうした現状から、アトピー性皮膚炎という名の後ろに隠れた、ステロイド誘発性皮膚炎患者が今後ますます増えていくことが予想されます。

以上のように、アトピー性皮膚炎の患者数が増加しているとは、一概にいえないのです。様々な事情がその背景にあることに留意する必要があります。