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アトピーとストレス

アトピーの原因として、ストレスの存在があるとしばしば指摘されます。

実際に私も、私自身のアトピー性皮膚炎の原因はストレスではないか、と何度か指摘されたことがあります。その言葉の裏には、ストレスをため込んでいるから治らないんだよ、というメッセージが込められているように感じました。

しかし、ストレスを取り除けばアトピーは治る、という意見は、アトピー患者のひとりとしては、非常に短絡的な発想に感じられます。ストレスは、アトピー性皮膚炎を発症させる原因ではなく、アトピー性皮膚炎の症状を悪化させるさまざまな原因のひとつである、と考えるからです。
つまり、図に表すと、下図のようなものではなく、
 
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下図のように、ストレスは増悪因子に分類されるということです。

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このように、発症原因と増悪因子を分けて考えるということは、とても大切な観点ではないかと思います。加えて、アトピー性皮膚炎は多因子疾患であるということも忘れてはいけないと思います。
発症原因については、いまだ不明です。ただ、現段階では、遺伝子異常やそれに伴うドライスキンなどの皮膚バリア障害などが有力な説に挙げられると思います。
 
個人的見解としては、増悪因子のうち、ストレスはあまり重要な因子ではないと感じます。自身の生活を振り返ってみると、アトピーの症状とストレスの度合が相関していたことはありません。例えば、仕事上で最もストレスがかかっていた時期に、アトピーが悪化していたかといえば、そのようなことはありませんでした。逆に、ストレスをほとんど感じていなかった時期にかなり悪化していたことがあります。
日常生活において、イライラしたりすると、確かにかゆみが増強されることはあります。しかしそれは一時的な掻破に過ぎず、イライラによって苔癬化にまで至るような掻き方をしたことはありません。
 
ここで問題提起したい点があります。それは、増悪因子のひとつにすぎないストレスが過大にアトピーの原因として喧伝されているのではないか、ということです。原因がストレスだと言われると、それを否定することは難しいです。そのため、アトピーを改善することができない医師の逃げ道として、ストレス原因説が利用されているように思えてなりません。
アトピーに限らず、診察を受けて、原因はストレスとされ、納得できる人はどれくらいいるでしょうか。私などは、原因が良くわからないから、とりあえずストレスと言っているのではないかと勘ぐってしまいます。よくわからない病気は何でもストレスのせいにされてしまうのです。
そもそも現代社会でストレスを感じていない人などいるのでしょうか。みな、大なり小なりストレスを抱えて生きていると思います。アトピーの原因がストレスなら、もっと多くの人がアトピーになっていると思います。
 
アトピー性皮膚炎診療ガイドライン(2009)においても、増悪因子としてストレスが指摘されています。
アトピー性皮膚炎の特に成人の重症例においては,人間関係,多忙,進路葛藤,自立不安などの,アトピー性皮膚炎以外の心理社会的ストレスが関与し,嗜癖的あるいは依存症とも呼ぶべき掻破行動が生じ,自ら皮疹の悪化をもたらしている例もまれではない.また小児例においても,愛情の欲求が満たされない不満から同様の掻破行動がみられることがある.
前後の文脈を踏まえると、ステロイド外用薬で治らない場合は、ストレスが原因かもしれないので、あなた自身に問題があるのですよ、と言われているようなものです。
それにしても、「小児例においても、愛情の欲求が満たされない不満から同様の掻破行動がみられる」という記述は、本当なのでしょうか。親の愛情が足りないから掻く。このような残酷な言い方は、子供のアトピーで悩んでいる保護者をさらに苦しませるに違いありません。患者やその家族を突き放すような態度・言い方は改めたほうがよいと思います。
 
アトピーの増悪因子としてストレスが挙げられることに異存はありませんが、現状ではその根拠が薄弱なので、さらなる分子生物学的なストレス研究がまたれているように思います。
 
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