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アトピー覚書ブログ

成人型アトピー 脱ステ・脱保湿患者のブログ

ステロイドはかゆみに効かない?

ステロイドの副作用
添付文書で分かれる「掻痒」の記載

前回の記事「NHKきょうの健康のアトピー特集」で、言及していなかった点について書き加えたいと思います。2015年7月放送の『しっかり治そう アトピー性皮膚炎「ステロイドの疑問解決」』という番組で、スタジオ解説は東京逓信病院副院長の江藤隆史氏です。

番組中、アトピー性皮膚炎の薬がもつ効能について、図を用いた説明がありました。図を引用改変すると、以下のようになります。

 

f:id:atopysan:20150731231623p:plain

 

注目したいのは、「ステロイド外用薬はかゆみに効かない」という点です。この点について江藤氏の解説はありませんでした。

 

そこで、ステロイド外用薬の添付文書等を調べてみると、効能又は効果として「皮膚掻痒症」の記載があるものとないものが混在していました。例えば、デルモベートやネリゾナには「皮膚掻痒症」の記載がなく、フルコートやレダコートには記載がありました。また、デルモベートとネリゾナには、副作用として「掻痒」の記載がありました。

いったい、どう捉えればいいのでしょうか。ステロイド外用薬といっても多種多様ですから、かゆみに効くものと効かないものがあるのかもしれません。

番組を見る限り、江藤氏は、ステロイド外用薬はかゆみに効かない、と認識しているようです。

 

ステロイドとかゆみについて、私の経験

私は、ステロイド外用薬の効能として、炎症とかゆみを分けて考えることをしてきませんでした。どちらにも効くのだろうと漠然と考えていました。ただ、言われてみると、確かにステロイドはかゆみに効果がないという話には思い当たるところがあります。

私がステロイド外用薬を使用し始めた当初は、容易に湿疹が治りましたし、かゆみもそれほど気になりませんでした。しかし、湿疹が再発して、再びステロイドを塗る、ということを何度も繰り返すうちに、ぶり返す湿疹の炎症度が強まり、かゆみも強さを増していきました。脱ステロイド前の時期が、一番かゆみが強かったと記憶しています。

通常では経験することがないかゆみです。脳が侵されるようなかゆみです。気がつくと、かゆみを我慢していて1時間経っていたなんてことは何度もありました。

そうした経験からは、ステロイドは、むしろかゆみを増強しているのではないかと思えるのです。

 

ステロイド外用薬には抗掻痒作用に関する明確なエビデンスはない?

調べてみると、大変参考になる論文がありました。


山浦 克典、土居 亮介、諏訪映里子、上野 光一「長期外用ステロイド誘発性の新規マウス掻痒モデルの作成」ImmunoTox Letter, 日本免疫毒性学会:The Japanese Society of Immunotoxicology Vol. 16 No. 2(通巻32号)2011

論文によれば、まずもって、ステロイド外用薬にはかゆみをおさえる作用についての明確なエビデンスはないそうです。

そして、慢性接触皮膚炎モデルマウスにデキサメタゾンを長期塗布すると、掻破回数は減少することなく、むしろ日を追うごとに増加したといいます。

デキサメタゾン塗布開始後、経日的に掻痒は増強し、塗布を中断することにより本増強が消失したことから、デキサメタゾン塗布による掻痒反応の亢進がデキサメタゾンに起因すること、及び本掻痒が可逆的であることを確認した。

掻破回数が増加した理由としては、デキサメタゾンの長期塗布による、H4受容体mRNA発現量の増加またはNGF mRNA発現量の増加によるのではないかと指摘しています。

 

ところで、ステロイドの塗布をやめればかゆみが治まるのだから、単純に使用を中止すれば良いのかと思うのですが、そううまくはいかないようです。リバウンド現象が生じるからです。

本モデルにデキサメタゾンを長期塗布することで、耳介腫脹は有意に改善したが、塗布を中断すると耳介腫脹は再び悪化した

ステロイドは一筋縄ではいかない薬だということを再認識させられます。

 

最後に、NHK番組によれば、タクロリムス外用薬と抗ヒスタミン薬はかゆみに効く、ということなのですが、これは簡単にうなづける話ではありません。私自身、抗ヒスタミン薬がかゆみに効いた試しは一度もありません。焼け石に水です。気休めだと思います。軽症であれば効くのでしょうか?

 

(引用部分の赤字による強調表示は当サイトによります。)