アトピー覚書ブログ

成人型アトピー 脱ステ・脱保湿患者のブログ

脱ステロイドの改善率

過去の論文から、脱ステロイド後の症状を評価してあるものを集めて、改善率を調べました。また、ステロイド外用薬による治療後の改善率についても同様に調べました。

当然ながら、各論文の条件は異なるので、結果の数字をそのまま比較することに意味はありません。また、全てにおいて評価の期間は数年内です。個人的には、脱ステロイドの評価において数年は短いと思います。その点、「脱ステロイドの短期的改善率」あるいは「リバウンドからの回復率」という捉え方もできると思います。いずれにせよ、参考程度に独自にまとめたものであることをご了承ください。

なお、「以前よりは良い」や「やや改善」など、改善の程度が低いものについても「改善」グループに含めて計算しています。

 

論文1

玉置昭治先生らによる報告です。

評価:増悪以前のステロイド治療期(1990年7月~1991年12月)から1992年3月時点

外用剤:非ステロイド軟膏、亜鉛華軟膏

  • 全26例
  • 6例・・・寛解
  • 5例・・・ほぼ寛解
  • 7例・・・以前よりは良い
  • 4例・・・ステロイド軟膏再開
  • 3例・・・休職中
  • 1例・・・不変

脱ステロイド 改善69%

(玉置昭治,大橋明子,石田としこ,中村麻紀「成人型アトピー性皮膚炎の脱ステロイド軟膏療法」日皮アレルギー・第1巻・第1号・1993年, 230-234)

論文2

隅田さちえ先生による報告です。

評価期間:1994年から1996年4月時点

外用剤:白色ワセリン、亜鉛華軟膏など

  • 全31例
  • 13例・・・寛解
  • 10例・・・改善
  • 3例・・・不変
  • 5例・・・ステロイド再使用

脱ステロイド 改善74%

(隅田さちえ「アトピー性皮膚炎の脱ステロイド療法」日本臨床皮膚科医会雑誌No.53 1997, 17-22)

論文3

南宏典先生らによる報告です。この報告では、ステロイド外用剤中止の評価とともに、ステロイド外用剤離脱後に紅斑が持続した症例に対する全外用剤中止の評価を行っています。その全外用剤中止(脱保湿)についても計算しました。

評価:外来受診(1992年4月~1994年3月)から1994年10月時点

外用剤:白色ワセリン、アズノール軟膏、ザーネ軟膏(症状持続症例で全外用剤中止)

  • 全32例
  • 12例・・・皮疹ほぼ消失
  • 20例・・・皮疹持続
    →20例のうち全外用剤中止により
      18例・・・皮疹軽快
       2例・・・ステロイド外用剤使用

脱ステロイド 改善38%

脱ステロイド(脱保湿を含む) 改善94%

(南宏典,佐藤健二,乾重樹,前田知子,田口博康「重症成人型アトピー性皮膚炎患者のステロイド外用剤離脱」皮膚・第38巻・第4号・1996, 440-447)

論文4

松村剛一先生らによる報告です。この報告では、患者を脱ステロイド群とステロイド使用群に分けて、それぞれ評価を行っています。

評価:初診時(1993年4月~1994年7月)から1994年11月時点

外用剤:白色ワセリン、亜鉛華軟膏など

  • 全85例 ( )はその内PUVA療法併用症例数
  • 15例(4例)・・・著明改善
  • 39例(17例)・・・改善
  • 20例(3例)・・・やや改善
  • 3例(2例)・・・不変
  • 8例(3例)・・・悪化

脱ステロイド 改善87%

  • 全38例 ( )はその内PUVA療法併用症例数
  • 1例・・・著明改善
  • 15例(2例)・・・改善
  • 15例・・・やや改善
  • 5例・・・不変
  • 2例・・・悪化

ステロイド使用 改善82%

(松村剛一,藤崎景子,貝瀬明「成人型アトピー性皮膚炎の脱ステロイド療法」臨床皮膚科 49(5増): 115-120,1995)

論文5

古江先生らによる報告です。この論文では controlled group と uncontrolled group とに分けて評価されていますが、独自に重症度の変化による分類(改善・不変・悪化)でも計算してみました。

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評価:6か月

外用剤:保湿剤

  • 全1252例
  • 1076例・・・controlled group
  • 164例・・・uncontrolled group
  • 12例・・・undescribed
  • 473例・・・改善
  • 732例・・・不変
  • 35例・・・悪化

ステロイド使用 controlled 86%

ステロイド使用 改善38%

(Masutaka Furue, Takahito Chiba, Satoshi Takeuchi. Current status of atopic dermatitis in Japan. Asia Pacific allergy,2011;1:64-72)

 

まとめ

論文1 脱ステロイド  改善69%

論文2 脱ステロイド  改善74%

論文3 脱ステロイド  改善38%

    脱ステロイド(脱保湿を含む)
            改善94%

論文4 脱ステロイド  改善87%

    ステロイド使用 改善82%

論文5 ステロイド使用 controlled 86%

    ステロイド使用 改善38%

 

注目すべきは、論文3の「脱ステロイド(脱保湿を含む)」の改善率94%です。脱ステロイドのみで改善した人は32人中12人(38%)でしたが、脱ステロイドで改善しなかった20人のうち、さらに脱保湿をすると18人(56%)が改善していました。両者を合わせると94%という極めて高い改善率となりました。

論文4では、ステロイド使用の改善82%が高いように見えますが、これは「やや改善」を含めて計算しているからです。「やや改善」を除き「改善」および「著明改善」のみで合計すると、脱ステロイドが64%、ステロイド使用が42%となります。総じて、脱ステロイド群の成績が上回っています。

最後に、標準的ステロイド治療の論文5についての検討です。controlled, uncontrolled という分類では、controlled groupが86%でした。しかし、改善・不変・悪化という分類で計算すると、改善が38%と低い数値となりました。不変が58%と高く、悪化が3%でした。論文4と5の結果からは、現状維持のためのコントロールというステロイド治療の対症療法としての性質がよく出ているように思います。

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