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ステロイド外用薬の副作用(とりあえずのまとめ)

ステロイド外用薬の副作用について、とりあえずのまとめです。

これまでの記事は以下の通りです。

  1. インタビューフォームに記載の副作用
  2. 皮膚バリア機能の低下
  3. 皮膚萎縮
  4. 酒さ様皮膚炎・リバウンド
  5. ステロイド外用剤依存
  6. 赤鬼様顔貌
  7. ステロイド抵抗性

ステロイド外用薬に副作用はあります。不安を煽っているわけではなくて、臨床的事実に基づいて、その危険性を指摘しています。

どのくらい危険かといえば、副作用の程度によっては、人生設計を再設計しなければならないほどの危険性を孕んでいます。休職・退職、休学、入院、長期自宅療養などを余儀なくされることがあります。

もちろん、すべての人にすべての副作用が起きるわけではありません。とはいえ、副作用について知っておくに越したことはないと思います。

まとめに際して思うことは、ステロイド外用薬は、

  • 長期連用

によって副作用の危険度が増すということです。ゆえに、長期連用だけは避けた方が良い、というのが個人的な感想です。

 

周知の通り、ステロイド外用薬の安全性をめぐっては様々な主張があります。

私は、ステロイド外用薬が、

  • 有効性と安全性が科学的に立証されている薬剤

とする主張に疑問を感じます。安全性が立証されているなら、ステロイドを含有する外用剤の回収騒ぎがなぜ起きるのでしょう。

これらの製品には、医薬品成分である副腎皮質ホルモン誘導体(いわゆるステロイドホルモン)が含まれており、繰り返し使用していた方が急に使用をやめるとリバウンド現象と呼ばれる副作用を生じるおそれがあり、専門の医師の診断を受けて、徐々に使用をやめる必要がある場合もあります。*1

これが安全性が立証された薬についての注意喚起とは思えません。また、この記述を読む限り、厚生労働省は日本皮膚科学会とは異なり、リバウンドの存在を認識しています。

 

その他の主張に、

  • 外用薬の副作用と内服薬の副作用を混同している

というものがあります。全身性の副作用はステロイド内服薬によるもので、外用薬ではほとんど問題とならないという主張です。

これは、ステロイド外用薬の副作用から目を逸らせるための方便にすぎないと思います。

  1. 外用薬では、内服薬の副作用は起こらないと強調する。
  2. 外用薬でも、色素沈着などは起こらないと強調する。

この2点を強調することで、外用薬でも適切に使えば安心だという気分にさせる詭弁です。つまり、下図のように印象づけます。

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(「酒さ様皮膚炎」も消してしまいたいようですが、さすがに否定されません)

確かに、色素沈着はステロイド外用薬の副作用ではないかもしれません。けれども、色素沈着のほかに、無視できない副作用があります。さらに、この一覧のなかに含まれていない副作用があります。

  • 皮膚バリア機能低下
  • 抵抗性
  • 依存性
  • リバウンド

などです。特に、重大な副作用である「依存性」と「リバウンド」の2つが無視されていることから、患者の医師に対する不信感が高まり、コミュニケーション不全が生じています。

 

さらに、ステロイド薬の安全性を強調するために、次のような主張もみられます。

  • 60年以上も治療に使用されてきた歴史がある薬
  • 臨床応用によってノーベル賞が授与されたほどの素晴らしい薬

前者は、英語論文等でよくみられる決まり文句で、それをコピペ和訳しただけのものであり、臨床から導き出された重みのある言葉ではありません。

長く使われているから、あるいは、世界中で使われているから、安全ということにはなりません。この60年、世界中で、内服薬の深刻な副作用が明らかになったほか、外用薬の生産販売量が増えていくなかでアトピー性皮膚炎患者が増えていき、第2選択薬としてタクロリムス軟膏等を承認せざるを得なくなり、副作用がより少ないアンテドラッグ等の開発が進められてきました。

後者については、受賞者当人が残した言葉に耳を傾けてほしいです。1950年のノーベル生理学・医学賞を受賞した1人であるエドワード・カルビン・ケンダルは、副腎皮質ホルモンの病気に対する強力な効果を認めつつも、副作用について心配を寄せていますし、未だ解明されていない問題があるという言葉を残しています。

Today the chemical structure of cortisone is known in every detail but one more chapter remains to be written. What physiologic processes are modified by cortisone and how this influence is exerted are matters still locked within this hormone of the adrenal cortex. Said Shakespeare’s soothsayer, "In Nature’s infinite book of secrecy a little I can read."

今日、コルチゾンの化学的構造はあらゆる詳細が知られているが、記されるべきことがあと1章残っている。コルチゾンによってどんな生理学的プロセスが修正されるのか、また、その影響がどのように及ぼされるか、である。これらは副腎皮質ホルモンに関して未だ解明されていない問題である。予言者シェイクスピアはこう言っている。「自然の計り知れない秘密の本については、私はほんの少ししか読めないのです。」*2

60年あまりが過ぎて、解明されてきた部分もありますが、未だ副腎皮質ホルモンの生理学的プロセスは完全に解明されていません。

偉大な発見のうちの都合の良い部分のみを切り貼りし、自らを正当化するための道具にしようとする不心得者は襟を正すべきと思います。

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  Edward Calvin Kendall

(引用部分の翻訳および赤字による強調表示は当サイトによります。正確な翻訳を期していますが、正確性を保証するものではありません。)

*1:医薬品成分(副腎皮質ステロイド)が検出された外用剤について|厚生労働省

*2:Edward C. Kendall "The Development of Cortisone As a Therapeutic Agent" Nobel Lecture, December 11, 1950