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アトピー覚書ブログ

成人型アトピー 脱ステ・脱保湿患者のブログ

ステロイドの作用機序

視床下部ー下垂体ー副腎系

ストレス応答の経路のひとつに、視床下部ー下垂体ー副腎系(hypothalamic–pituitary–adrenal axis)がある。

外部からのストレスに曝されたとき、次のようなフィードバック機構が働く。

  • 視床下部からCRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)が分泌される。
  • CRHの分泌により、脳下垂体からACTH(副腎皮質刺激ホルモン)が分泌される。
  • ACTHの分泌により、副腎皮質から副腎皮質ホルモンが分泌される。

副腎皮質ホルモンのなかでも、糖質コルチコイドの一種であるコルチゾールが重要とされる。副腎機能を評価する場合に、血中ACTH値および血中コルチゾール値が測定される。

視床下部ー下垂体ー副腎系は、コルチゾールの分泌が過剰にならないように、CRHやACTHの分泌を抑制するネガティブフィードバック機構を備えている。

 

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コルチゾールの生合成

副腎皮質において、コルチゾールはコレステロールから産生される。

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ステロイドの作用機序

グルココルチコイド(GC)は脂溶性薬物であり、細胞膜を通過して、グルココルチコイド受容体(GR)と結合する。すると、GRと結合していたヒートショックプロテイン90(HSP90)などの分子シャペロンが遊離して、GRのDNA結合領域が露出する。

GRとGCの複合体は、核内へ移行し、ステロイド応答遺伝子のプロモーター領域にあるグルココルチコイド応答エレメント(GRE)に結合して、下流の遺伝子の転写を促進する。

転写された遺伝情報を受け継いだメッセンジャーRNA(mRNA)は細胞質のリボソームと結合し、リボソームはmRNAの遺伝情報を読み取って蛋白質を合成する。

他方、GRとGCの複合体は、NFκB(nuclear factor-kappa B)やAP-1(activator protein-1)などの転写因子と相互作用できる。そして標的遺伝子の転写を抑制する。

 

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薬理作用

グルココルチコイドの誘導体であるコルチコステロイド薬は、強力な抗炎症作用および免疫抑制作用を有する。

コルチコステロイドは多くの遺伝子の発現を制御している。白血球に発現される遺伝子の20%もが、グルココルチコイドによって転写が誘導されたり抑制されている可能性がある。

コルチコステロイド薬は、体内で普通遭遇するよりもはるかに高い濃度のリガンドをグルココルチコイド受容体に曝すことによって治療効果をもたらす。これは過剰な反応を引き起こすが、それは有益な効果と毒性のある効果の両面がある。

コルチコステロイドは、サイトカイン、プロスタグランジンといった炎症性メディエーターの産生を抑制する。それらは接着分子の発現を抑制して、好酸球などの炎症細胞の炎症部位への遊走を阻害する。そして、白血球とリンパ球のアポトーシスによる細胞死を促進する。

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参考文献

金子周司編(2009)『薬理学』化学同人.

Murphy Kenneth, Travers Paul, Walport Mark(2010)『免疫生物学』笹月健彦監訳, 南江堂.

(アトピーに関する個人的な覚書です。内容の正確性を保証するものではありません。)