読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

アトピー覚書ブログ

成人型アトピー 脱ステ・脱保湿患者のブログ

赤ちゃんにステロイド

赤ちゃんにステロイド

最近、偶然に、赤ちゃんにステロイド外用薬を使用している、というお母さんを2人知りました。個人的に、心穏やかでいられませんでした。2人のお母さんには次の点が共通していました。

  • 0歳の赤ちゃんが医師から乳児湿疹と診断され、ステロイド外用薬を処方された。
  • ステロイド外用薬を塗っているが、いつまでたっても湿疹が治らない。
  • 湿疹が治らないので、医師から、外用量を増やすか、または、より強いステロイド外用薬を使用するように勧められている。
  • お母さんは、ステロイド外用薬について、副作用をあまり気にしていない。

おそらく、お母さん自身は、生まれてからこれまで、大きな皮膚のトラブルを経験したことがなく、ステロイド外用薬とは無縁の生活を送ってきたのではないかと思います。自分の赤ちゃんに湿疹ができて、初めてステロイド外用薬を処方され、さしたる疑念ももたずに赤ちゃんに塗り続けているようです。

私が心穏やかでいられないのは、ひとつは、お母さん方があまりにも医師と薬を頼りにしすぎるように感じるからであり、もうひとつは、医師があまりにも安易に赤ちゃんにステロイド外用薬を処方してしまうからです。

私は医師ではありませんし、よその家庭の方針にあれこれ口出しすることもよしとしないので、そのお母さんに意見を伝えようとは思いません。しかし、ここで自分なりの考え方を記しておきたいと思います。

以下は、すべて、あくまでも個人的な見解であり、治療法の推奨ではないことをご了承ください。

f:id:atopysan:20150815020625j:plain

 

短期で治ることもあれば、長期連用に陥ることもある

乳幼児に処方されるステロイド外用薬は、5段階のランクのうち、下から2番目のミディアムランクのものが多いと思います。日本皮膚科学会のガイドラインは、乳幼児に対して、通常よりも1ランク低いステロイド外用薬を処方するよう推奨しています。

一般的な使用上の注意としては、炎症を抑えるために赤ちゃんの免疫を抑制するので、免疫力が必要とされる細菌・真菌・ウイルス感染などの症状には禁忌です。例えば、黄色ブドウ球菌の感染によるとびひや、白癬菌の感染によるたむし、単純ヘルペスウイルス感染による単純疱疹などです。塗ると悪化してしまいますし、また、これらの病気にかかりやすくなります。

その他さまざまなリスクはあるものの、抗炎症作用が奏功した場合などは、ステロイド外用薬はそのリスクを上回るベネフィットを得られる薬だと思います。

私が人から聞いた話では、赤ちゃんの湿疹にステロイド外用薬を塗って、一気に治したというお母さんがいらっしゃいます。

すべてがこのようにうまくいくなら、何の心配もいりません。おそらく、このお母さんの場合は、短期間できれいに治したあと、再発がなかったのだと思われます。しかし、初めのお母さんは、赤ちゃんにステロイドを半年程度にわたり長期連用しており、かつ、改善の兆しがみられないのです。

私が心配するのは、長期連用によるステロイド外用剤依存やリバウンドなどの副作用です。

 

ステロイド外用薬の使用方法は適切か

ステロイド外用薬の添付文書を見ただけでも、多くの使用上の注意が記載されています。やはり、ここでポイントとなるのは、「長期連用」であると思います。

本剤の使用により症状の改善が見られない場合又は症状の悪化を見る場合は使用を中止すること。

長期連用により、酒査皮様皮膚炎・口囲皮膚炎(ほほ、口囲等に潮紅、膿疱、丘疹、毛細血管拡張)、ステロイド皮膚(皮膚萎縮、毛細血管拡張、紫斑)、まれに瘡様疹が、また多毛及び色素脱失等があらわれることがある。

小児等への使用
長期・大量使用又は密封法(ODT)により発育障害をきたすおそれがある。また、おむつは密封法と同様の作用があるので注意すること。*1

後々、副作用が起きたとしても、使用上の注意を守らずに、長期連用という不適切な使用をしたのだから仕方がないと言われてしまいます。

また、赤ちゃんの顔にもステロイド外用薬を塗っているケースもあるかもしれません。短期ならまだしも、長期にわたり顔に塗るのはとても危険だと思います。

 

ステロイドが奏功しなかった場合

乳児湿疹に対するステロイド外用薬の処方をどのように評価すべきでしょうか。2つのケースで考えてみます。

  1. ステロイドを数日(短期間)使用して、湿疹が治り、再発がなかった。
  2. ステロイドを使用して、湿疹が治ったかと思うと、再発を繰り返す。

1.であれば、処方は効果的だったといえると思います。一方、2.であれば、ほかの治療法への変更が適切かもしれません。この、どちらに転ぶかわからないところも、ステロイド外用薬のリスクであると思います。

2.であった場合、その後の対応に難渋する可能性があります。

赤ちゃんにステロイド外用薬を数週間使い続けても治らないので、再び医師のもとを訪れたとします。このとき、こちらの話にほとんど耳を傾けず、次のように一方的な診察に終わった場合、かなり危険な状況だと思います。

  • 薬の塗り方が足りないから治らないと決めつける。
  • 問答無用で薬のランクを上げてくる。
  • ステロイドはきちんと使えば副作用の心配はないと言い切る。

このままだと、長期連用に陥る可能性があります。

また、すでにこの時点で、ステロイドから離脱することのリスクが発生しています。
これは、医師にとっても難しいコントロールを迫られるはずです。

どのような症状であれば、炎症が治まったと判断できるのか。その場合、どのような方法で、ステロイドから離脱するのか。一度に中止するのか、漸減するのか。漸減する場合は週何回外用するのか。漸減の期間はどのくらいか。離脱中に悪化した場合はどうするのか。ステロイドと保湿剤はどのように組み合わせて使用するのか。個々の症例によっても対応は異なるでしょう。

一方で、医師のみに責任を求めることも酷のような気もします。ちょっとしたかぶれやあせもなど、放っておいても自然に治るような症状でも、すぐに医者や薬に頼る風潮があるとすれば、トラブルも招きやすいのではないでしょうか。

医師の側に立てば、「投薬」以外にできることは少ないと思います。診療報酬の問題もあります。投薬する場合は、ステロイド外用薬か保湿剤のほぼ2択です。医師にかかるということは、ステロイドを処方してもらうこととほぼ同義です。

ステロイド外用薬は、免疫抑制剤です。赤ちゃんの皮膚にステロイドを塗るということはどういうことでしょうか。ステロイドが、赤ちゃんのDNAに作用して、免疫システムを抑制し、炎症を起こす力を抑え込むということです。炎症のみを抑えてくれれば良いのですが、不利益な作用がさまざまあるので、長期連用してはならないとされているわけです。危険性があるから、乳幼児にはランクを落として処方するわけです。加えて、その作用機序は完全に解明されているわけではありません。

乳児湿疹は、単なる「あせも」や「おむつかぶれ」である場合もあります。本当に治療が必要な症例を除いて、自然治癒を待つこともひとつの選択かもしれません。

赤ちゃんにステロイドは本当に必要か、もう一度じっくりと考えてみることは、決して損にはならないと思います。

(当サイトはいかなる治療法をも推奨するものではありません。また、当サイトに掲載されている情報を利用することにより発生したいかなる損害についても責任を負うものではありません。)

*1:ロコイドの添付文書より