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アトピー覚書ブログ

成人型アトピー 脱ステ・脱保湿患者のブログ

ステロイド外用薬の副作用(5:ステロイド外用剤依存)

ステロイドの副作用

ステロイド外用剤の副作用のうち、重要性が高いと思われるものが、ステロイド外用剤依存(Topical steroid addiction)です。なぜなら、依存に陥ることはすなわち長期連用に陥ることであり、他のさまざまな悪影響を受けやすくなると思われるからです。

深谷元継医師らは、ステロイド外用剤依存(以下、TSA)を次のように定義づけています。

ステロイド外用剤依存とは「ステロイド外用剤からの離脱後、治療前よりも重症で多彩な皮膚症状を呈してくるような状態をいう」*1

この引用元の論文は、ステロイド外用剤の使用者は必読であると思います。

 

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(和訳ページ:アトピー性皮膚炎におけるステロイド外用剤依存

 

そして、その指摘は大変示唆に富むものです。ポイントを列挙してみます。

  • TSAの病変はアトピー性皮膚炎の皮疹と同じように見えるが、アトピー性皮膚炎と考えるにはどこかが異なっていておかしい。
  • ステロイド外用剤を使用し始めた頃よりも痒みが治まらなかったり、湿疹が抑えられなくなっている。
  • TSAは、ステロイド外用期間が長いほど、ステロイド剤が強いほど、起きやすい。
  • TSAの治療としては、ステロイド外用剤を中止する。
  • ステロイド外用剤を中止すると、治療抵抗性の湿疹が残っていた部位に紅斑が生じ、ステロイド外用剤を塗ったことの無い部位にも拡大する。
  • このリバウンドの皮疹は、軽症例では、潮紅と紅斑から成る。より重症例では、丘疹、膿疱、びらんなどを含む多彩な皮膚症状を呈する。

以上のような経過は、ステロイド外用剤を使用したことのある患者のうち、一部の患者が経験していると思います。私もその一人です。経験者としてTSAを端的に言い表すならば、「ステロイドをやめたいけれどやめられない」ということです。

つまり、ステロイド外用剤を皮疹に塗っても、治った後すぐに再発してしまうか、または治りきらないので、再びステロイドを塗らざるを得なくなるのです。放っておくと、炎症がひどくなるので、ステロイドの中止には踏み切れません。そのうち、同じ薬では炎症が抑えきれなくなり、徐々に薬の強さのランクが上がっていきます。患者は、ステロイドが効かなくなったと感じます。

この段階に至ると、患者は、治療を始めた頃よりも状況が悪化していることから、焦燥感にかられ、ステロイド外用剤の中止(脱ステロイド)を考えるようになるのだと思います。中止後のリバウンドは不可避のようです。

阪南中央病院の佐藤健二医師は、ステロイドの依存性について、ステロイド外用剤を追加しなければ皮膚のステロイドが不足している状態であると説明しています。

ステロイド外用を中止すると一次的に皮膚の悪化が起こるため外用を続けざるをえないように見えるが、さらに外用を中止していると、激しい悪化後に正常皮膚に戻る。このようにもともとは正常であったがステロイド外用によりステロイドに依存性となった皮膚の状態を言う。 言い換えれば、正常であった皮膚が正常の皮膚機能を営むのに自らが作るステロイド量では不足し、外用ステロイドの追加を不可欠としている状態で、正常皮膚のステロイド外用剤に対する依存状態である。*2

このような、外部からステロイドを補充しなければ正常な皮膚を維持できないという状態が、ステロイドからの離脱によって回復するなら、それほど問題は複雑ではありません。しかし、脱ステロイドを行った人のなかには、再びステロイド外用剤を使わなければ、正常な皮膚を維持できないような人たちがいるようです。

個人的な意見では、TSAに陥った患者が、脱ステロイド後に寛解するかどうかは、離脱前のステロイド外用剤の外用期間およびステロイド剤の強さに大きく影響されるのではないかと思います。その点から考えても、TSAにつながるステロイド外用剤の長期連用には、本当に注意しなければいけないと思います。

*1:Fukaya M et al. "Topical steroid addiction in atopic dermatitis" Drug, Healthcare and Patient Safety. 2014; 6: 131–138.

*2:佐藤健二「患者に学んだ成人型アトピー治療