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アトピー覚書ブログ

成人型アトピー 脱ステ・脱保湿患者のブログ

ステロイド外用薬の副作用(4:リバウンド・酒さ様皮膚炎)

ステロイドの副作用

ステロイド外用薬の副作用のなかでも、症状が大変に辛いものが、長期連用により生じる酒さ様皮膚炎と、その後の外用中止による悪化(リバウンド)です。

酒さ様皮膚炎(しゅさようひふえん, rosacea-like dermatitis)とは、顔面へ長期間ステロイド外用剤を用いたため「酒さ」のような皮膚病変をきたしたもののこと。*1

「ステロイド酒さ」「ステロイド潮紅」といった表現も見受けられます。毛細血管拡張やステロイド痤瘡などを伴うことがあるようです。

私の場合、約1年にわたるタクロリムス軟膏およびステロイド外用薬の長期連用後、下の写真のようにリバウンドが起きました。首周りから上が真っ赤です。紅斑、浸出液などが一気に噴出しました。原疾患(アトピー性皮膚炎)の悪化のみが原因とは到底考えられません。浸出液が出たことも、真っ赤なびまん性の紅斑も、ステロイド外用薬を使用する前は経験したことがなかったからです。ステロイド外用薬の副作用を確信したときです。

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日本皮膚科学会は、どうしても、このリバウンドの存在を認めたくないようです。

アトピー性皮膚炎診療ガイドライン(2009)においては、リバウンドについて、一切言及はありません。酒さ様皮膚炎については、タクロリムス軟膏の注意事項として記載されているのみで、ステロイド外用薬の副作用としての言及はありません。そして、顔面の紅斑性病変の多くはステロイド外用薬の副作用では起きないと、念を押すように記述されています。

近年しばしばみられる成人患者の顔面の紅斑性病変の多くは,掻破などを含むステロイド外用薬以外の要因に起因するものではあるが,局所の副作用の発生には注意が必要な部位であり,処方に当たっては十分な診察を行う.

医師や薬のせいではなくて、掻いてしまう患者のせいだというのです。

また、リバウンドについて、標準治療を推進する九州大学医学部皮膚科では、リバウンドは患者の勘違いであると説明しています。

ステロイド外用薬を使って皮膚の炎症を抑えている途中でステロイド外用薬をやめてしまうために、炎症がぶり返して以前よりさらに悪化したように思うことを「リバウンド」だと思っている人がいます*2

 

一方、皮膚科の教科書には、リバウンドについて、明確に記載されています。

コルチコステロイド外用薬中止後のリバウンドの炎症は、珍しいことではない。アトピー性皮膚炎のような基礎皮膚疾患を背景としても、また、コルチコステロイド外用薬の長期使用後では正常な皮膚においても、リバウンドの炎症は発生する。リバウンドの炎症は、Sheuらの研究においては、すべての患者で観察された。
コルチコステロイド外用薬中止後に続くリバウンドの炎症は、バリア破壊の他の形態で観察されるものと似ている。バリア破壊は、炎症反応につづくサイトカインカスケードの始まりを引き起こす。バリア破壊につづいて放出されたいくつかのサイトカインは、プロテアーゼ遺伝子からの転写を引き起こし得るし、さらなるバリア破壊を導き得る。
コルチコステロイド外用薬の中止につづくリバウンドの炎症の極度の形態は、レッド・バーニング・スキン・シンドロームである。報告されたすべてのケースで、患者は、顔や陰部などの敏感な皮膚に長期間コルチコステロイド外用薬を使用していた。患者は、初め、炎症や紅斑による掻痒を訴えた。さらなるコルチコステロイド外用薬の使用は、コルチコステロイド依存と表現される状況の悪化につながる。*3

また、アメリカ家庭医学会は、酒さ様皮膚炎とリバウンドについて、当然の事実として言及しています。

ステロイド外用薬は酒さも引き起こす。酒さは、紅斑性、丘疹性、膿胞性の皮疹を伴う可能性がある。
ステロイド酒さは、病変を消失させるために、作用が弱いステロイド外用薬を用いて顔の発疹を治療したときに生じる。
もし、その症状が再発を繰り返し、ステロイドの強度が徐々に増加したなら、酒さは追加治療に対し難治性となっている可能性があり、ステロイドを中止しなければならない。その結果、深刻な紅斑のリバウンドと膿疱の発生が起きる可能性がある。10日間のテトラサイクリン(毎日4回250mg)またはエリスロマイシン(毎日4回250mg)による治療が必要かもしれない。
深刻なリバウンド症状のためには、作用が弱いステロイド外用薬をゆっくりと漸減すること、および、患部への冷湿布の使用が有用かもしれない。*4

 

このように、文献等を少し調べれば、ステロイド外用薬によって誘発されるリバウンドや酒さ様皮膚炎が、臨床的事実として認識されていることは、すぐに分かります。それにもかかわらず、日本皮膚科学会をはじめ標準治療を推進する皮膚科医は、なぜ、リバウンドの存在を認めようとしないのでしょうか。

考えうる理由を列挙してみました。

  • リバウンドを怖がるステロイド忌避の患者が増えると困る
  • 患者は文献等で調べたりしないだろうと高をくくっている
  • これまでリバウンドはないと言い続けてきたので、今さら前言を撤回できない
  • リバウンドの存在を認めると、皮膚科学会の重鎮から組織的圧力を受ける
  • 製薬会社にとってマイナスとなる情報を出すと不利益を被る
  • 本当にリバウンドがないと思っている

実際に診察を受けると、皮膚科学会のマインドコントロールが徹底されているからか、臨床経験に乏しいからか、「本当にリバウンドがないと思っている」ふしのある医師が多いような気がします。気のせいであればよいと思います。

患者としての意見を述べると、「リバウンドは存在しない、患者の勘違いである」という主張には、憤りを覚えます。真っ赤に腫れあがった顔からだらだらと汁を流している患者が、「以前よりさらに悪化したように思う」などと勘違いをすることはあり得ません。

リバウンドおよび酒さ様皮膚炎の、身体的・精神的苦痛は大変なものです。それに伴いステロイドを中止する場合、離脱期間中は、入院など社会生活からドロップアウトする可能性が高く、日常生活は大幅に制限されます。

ステロイド外用薬を使用しないで済むなら、それに越したことはありません。すでに使用している場合は、長期連用に十分注意するべきと思います。

 

(参考記事)

ニュージーランドにおける依存とリバウンド

インドにおけるステロイド外用薬

 

(他サイトの参考記事)

Dr.Kligmanの警告

「リバウンド現象」についての皮膚科医による記述

(引用部分の翻訳および赤字による強調表示は当サイトによります。正確な翻訳を期していますが、正確性を保証するものではありません。)

*1:「酒さ様皮膚炎」(2013年2月13日 (水) 04:25 UTCの版)『ウィキペディア日本語版』

*2:アトピー性皮膚炎についていっしょに考えましょう。

*3:Textbook of Atopic Dermatitis
Sakari Reitamo, MD, Thomas A Luger, MD, and Martin Steinhoff, MD PhD

*4:American Family Physician January 15, 2009 Volume 79, Number 2
"Choosing Topical Corticosteroids"