アトピー覚書ブログ

成人型アトピー 脱ステ・脱保湿患者のブログ

標準治療の実績

アトピー性皮膚炎の標準治療の有効性は、どの程度のものなのでしょうか。

アトピー性皮膚炎診療ガイドライン(2009)の作成委員長である、古江増隆氏らの次の論文から読み解きたいと思います。

Masutaka Furue, Takahito Chiba, Satoshi Takeuchi, "Current status of atopic dermatitis in Japan". Asia Pac Allergy. 2011 Jul;1(2):64-72.

1,271人のアトピー性皮膚炎患者を、乳児グループ、小児グループ、青年および成人グループの3グループに分け、外来診療にて6か月間追跡したものです。その間、すべての患者が、ステロイド外用薬と保湿剤による治療を受けています。

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治療前と治療後の重症度がこの図で示されています。重症度に応じて、論文では、緑色の線の枠外をコントロール群、枠内をコントロール不良群としています。その割合は次の通りです。

  • 乳児
     コントロール群  92.3%
     コントロール不良群  7.2%
  • 小児
     コントロール群  88.9%
     コントロール不良群  9.4%
  • 青年及び成人
     コントロール群  80.2%
     コントロール不良群19.4%
  • 全体
     コントロール群  85.9%
     コントロール不良群13.1%

標準治療を行った場合は、コントロールは良好のようです。ただし、コントロール群には、症状の程度に変化がなかった人も含まれています。つまり、コントロールといっても、すべての人が改善するわけではありません。その点を誤解してしまう人もいると思います。また、患者にとっては、治療を受けて、改善するかどうかが最も気になるところだと思います。

そこで、このデータを元に、治療前と治療後を比較して、症状の程度が改善した人を「改善」、症状の程度が変わらなかった人を「不変」、症状の程度が悪化した人を「悪化」として、3つのグループに分けてその割合を計算してみました。

結果は以下の通りです。

  • 乳児
     改善35.7% 不変60.4% 悪化3.4%
  • 小児
     改善39.4% 不変55.9% 悪化3.0%
  • 青年及び成人
     改善36.8% 不変60.4% 悪化2.4%
  • 全体
     改善37.8% 不変58.5% 悪化2.8%

この分類によると、ステロイド外用薬を主とする標準治療を受けた場合、改善する人は4割弱、現状維持の人がおおよそ6割ということになります。ステロイド外用薬の、対症療法による現状維持という性質がよく表れていると思います。

この数字が、ステロイド外用薬の副作用のリスクを負担するに足りるかどうか、標準治療を受けるうえで、心に留めておいてもよいかと思います。

 

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