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アトピー覚書ブログ

成人型アトピー 脱ステ・脱保湿患者のブログ

標準治療について

標準治療・ガイドライン

アトピー性皮膚炎の標準治療は、九州大学医学部皮膚科学教室のサイトに掲載されています。

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標準治療は次の3本柱から成ります。

  1. 入浴と保湿のスキンケア
  2. 炎症を抑える薬物治療
  3. 悪化因子探しと対策

当然といえば、当然です。

ここで、やはり問題となるのは、薬物治療における副作用だと思います。副作用についての記述を見てみると、大変に簡略化されていました。

適切に使えば高い治療効果があり、副作用も心配ありません。

ステロイド外用薬を使うことに不安をもっている患者さんがいます。ただ多くの不安は外用薬を適切に使っていないことから生まれる誤解です。例えば「皮膚が黒くなる」「厚くなる」のは症状に合わせた強さの外用薬を使っていなかったり、必要量を十分に使っていないために起こります。

「適切に使っていない」というのは、皮膚科医の常套句で、患者への責任転嫁以外の何物でもないです。副作用のおそれのある薬物を処方するからには、患者が適切な使用をするまで全体として医師が責任を持つべきです。

また、「皮膚が黒くなる」とは色素沈着、「厚くなる」とは苔癬化のことを指していると思います。

余談になりますが、世間にあまたある皮膚科開業医のホームページでは、色素沈着はステロイド外用薬の副作用ではない、というような、副作用は心配に及ばない旨の記述が多くみられます。それは、ガイドラインをはじめこうした標準治療の解説が出典だと思われます。3分診療即ステロイド処方の能天気な皮膚科医たちが安易にコピペしてしまうのを避けるため、標準治療の記述は慎重に慎重を重ねてほしいところです。

本題に戻ると、色素沈着や苔癬化を取り上げると、リバウンドや外用薬依存のような、より深刻な副作用から目をそらすことになります。結果として、副作用の記述としては不十分と思います。

では、同じ九州大学医学部皮膚科学教室の「アトピー性皮膚炎についていっしょに考えましょう。」というサイトで、ステロイド外用薬の副作用についてどのような記述があるのかを見てみます。

「医師の視点で考えるアトピー性皮膚炎」というページには、ステロイド外用薬の局所性副作用として次が挙げられています。

(1)うぶ毛が生える

(2)塗ったところにニキビができやすくなる

(3)同じ場所に塗り続けると皮膚がややうすくなることがある

(4)同じ場所に塗り続けると血管がやや目立つことがある

(5)皮膚がうすくなりすぎると、皮膚線条ができることがある

このうち(1)~(4)までの副作用はステロイド外用薬の使用量が少なくなると回復しますが、(5)は回復しません。(5)の皮膚線条は同じ場所に数年間毎日塗り続けると発生しますので、皮膚線条を起こさないよう、医師の注意深い観察と指示が必要です。

これを見ると、(5)の皮膚線条だけ気を付けていれば良い、というふうに読めてしまいます。しかも、数年間毎日塗り続けなければ問題ない、また、内服薬ではなく外用薬であれば問題ない、というメッセージも込められています。リバウンドや外用薬依存についての記述はありません。

 

さらに読み進めると、「患者の視点で考えるアトピー性皮膚炎」というページには、リバウンドと外用薬依存に関する記述がありました。このページには、ステロイド外用薬を不安に思う理由が11項目にわたって挙げられています。そのうえで、そうした不安は間違った情報に基づくものでステロイド外用薬の副作用とは関係ない、という解説がなされています。ひとつずつ見ていきます。

1.ステロイド外用薬が体に蓄積されて患部も広がり更に悪化する
(中略)ステロイドが蓄積することで患部が悪化したのではなく、適切な治療がされなかったために患部が広がったことが考えられます。

患部が広がるということは、私自身、経験としてありますので、この記述は不適切だと思います。また、こちらの記事も参考になります。

2.ステロイド外用薬を塗れば塗るほど皮膚が黒く、固くなる
(中略)炎症を長引かせることにより、色素沈着がおこり皮膚が黒くなったり苔癬化といってゴワゴワとした固い皮膚になることがあります。

この点は私にはわかりません。ただ、私の場合、1日にして色素沈着と苔癬化が起こることを経験しているので、「炎症を長引かせることにより」というのは当てはまりません。炎症が長引く、というのがどのような状態を指すのかわかりませんが、私は掻破などの物理的刺激を繰り返すことで苔癬化が起きると感じています。ですから、炎症が長引くと苔癬化するからステロイドを塗るべき、という論理は短絡的と思います。

3.長期間使っていると慣れてきて強いランクの薬でも効かなくなる
どんなに長く使ってもステロイド外用薬が効かなくなることはありません。(後略)

私の場合、だんだんとステロイド外用薬が効かなくなりましたので、この記述は不適切だと思います。また、こちらの記事も参考になります。

4.ステロイド外用薬を処方されて塗るとすぐに効くので、強い薬なのではと怖くなる
すぐに効いたということは、症状に合ったステロイド外用薬が処方されたということで、強い薬だということではありません。(後略)

5.副腎機能を抑制し、内臓疾患を起こす
ステロイドの内服を長期間使うことで副腎機能を抑制することはありますが、外用薬を主治医の処方通りに塗って副腎機能の抑制を起こすことはありません。(後略)

6.アトピー性皮膚炎はステロイドが原因でなる病気と本で見た

アトピー性皮膚炎はアトピー素因と言われる体質とバリア異常により発症します。(後略)

これらの点についてあまり付け加えることはありませんが、5.は「主治医の処方通りに」との但書きがあります。ガイドラインは、外用薬であっても副腎機能の抑制が生じうる可能性を示唆しています。

ベリーストロングクラスのステロイド外用薬の長期使用試験結果より,皮疹の面積にも左右されるが通常の成人患者では十分量である1 日5g ないし10g 程度の初期外用量で開始し,症状に合わせて漸減する使用法であれば,3 カ月間までの使用では一過性で可逆性の副腎機能抑制は生じうるものの,不可逆性の全身的副作用は生じない.3 カ月以上にわたって1 日5g ないし10g 程度のステロイド外用薬を連日継続して使用することは極めて例外的であるが,そのような例では定期的に全身的影響に対する検査を行う必要があり,ステロイド外用薬の減量を可能ならしめるよう個々の患者に応じて適切な対応が検討されるべきである.

 

7.やめると「リバウンド」が起きてひどい状態になる
ステロイド外用薬を使って皮膚の炎症を抑えている途中でステロイド外用薬をやめてしまうために、炎症がぶり返して以前よりさらに悪化したように思うことを「リバウンド」だと思っている人がいます。(後略)

 私の場合は、「炎症がぶり返して以前よりさらに悪化したように思う」という勘違いではなく、事実として、炎症が強烈にぶり返して以前より極度に悪化しました。著しく不適切な記述です。こちらの記事も参考になります。

8.「長期連用は良くない」と言われるが、医師はステロイド外用薬を出すだけ
皮疹の状態によりステロイド外用薬を使う期間は様々です。(後略)

 個人的には、ステロイド外用薬およびタクロリムス軟膏の使用においては、長期連用が大変に重要なポイントであると思います。たとえば、初めてステロイド外用薬を使うのであれば、短期使用後の評価は必須だと思います。長期連用せざるを得なくなっている人とはまったく事態が異なります。「期間は様々です」と曖昧にしておくのは、長期連用につながるおそれがあるので、不適切な記述だと思います。

9.ステロイド外用薬を使うと一生やめられなくなる
一生やめられなくなるということはありません。適切な治療をすることで良くなり、やめられるようになった人はたくさんいます。(後略)

 私の場合、偶然にリバウンドが起きたので、ステロイドの外用を強制的に中止しました。それまでは外用後の寛解と再燃を繰り返しており、治ったうえで中止するということはできませんでした。「やめられるようになった人はたくさんいます」とのこと、ぜひ長期間追跡によるデータを示してほしいです。ステロイド外用薬を長期連用している人の中には、外用をやめようとすると悪化して、また使わざるを得ないという、いわゆる「ステロイド依存」に陥っている患者がいると推測します。こちらの記事も参考になります。

10.ステロイド外用薬を否定する療法を勧める販売業者からの情報
アトピー性皮膚炎によいとされる商品を販売する業者がまだ存在します。アトピービジネスといわれるもので科学的根拠のない商品や治療法を勧めるものばかりです。(後略)

 この点は同意します。

11.ステロイド外用薬を使わない治療をする医師の意見
独自の治療法を推奨し、理論的に説明している医師がいますが、正しい根拠に基づいている治療とは言えないものもあります。(後略)

 脱ステロイド派の医師への批判のようです。個人的には、脱ステロイド派の医師たちが、標準治療派の医師によって作られたステロイド誘発性皮膚炎の患者を診ているという点において、自らの尻拭いをしてもらっているのであるから、批判ではなく感謝をすべきと思います。

 

以上を総合的に勘案すると、この中では、3.7.8.9.が重要だと思います。つまり、「薬剤抵抗性(薬物耐性)」、「リバウンド」、「長期連用」、「依存」です。

標準治療の立場からは、こうした現象は存在しないし、標準治療を受けていれば問題はないと、一顧だにされません。しかし、私は、ステロイド外用薬またはタクロリムス軟膏を長期連用した場合は、実体験から、こうした現象が起こりうると考えます。