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アトピー覚書ブログ

成人型アトピー 脱ステ・脱保湿患者のブログ

ステロイド論争(その1)

脱ステロイド

アトピー性皮膚炎をめぐる世界では、日本皮膚科学会のガイドラインを遵守して主としてステロイド外用薬による治療を実践する「標準治療派」と、ステロイド外用薬などの外用薬をできるだけ使わない「脱ステロイド派」が、お互いに異なる主張を繰り広げています。

しかし、こうした争いは、無意味ではないかと思います。なぜなら、患者の中にはステロイド外用薬を使わざるを得ないような人もいるだろうし、他方でステロイドから離脱して改善する人もいるからです。

この対立の構図を個人的見解のもとイメージにしてみました。こうして見ると、標準治療派の確固たる体制が目につきます。最近は、マスコミが標準治療の宣伝に利用されている感がありますので、マスコミの中から現場を丁寧に取材した報道が出てくれば、状況は変わってくるかもしれません。

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標準治療派の医師

以下の方々が代表的です(敬称略、所属は2015年3月現在)。ガイドライン作成委員の方々であったり、関連著作やメディアへの露出が多い方々です。

脱ステロイド派の医師

“脱ステロイド派の医師”という表現は適切ではないかもしれません。ステロイド外用薬を使いたくない患者の希望を尊重しながら診察を行う方々です。以下の方々が代表的です。

また、元国立名古屋病院皮膚科の医師で、現在は美容外科クリニックを開いている深谷元継先生は、日本皮膚科学会のガイドラインに、ステロイド外用剤の副作用として「依存」・「リバウンド」の記述を付け加えるよう求めています。深谷先生のブログは有用な情報で満載です。

 

個人的な推測ですが、将来的には、ステロイド外用薬の副作用などの負の側面がより明らかとなり、日本皮膚科学会のガイドラインが修正され、標準治療は形を変えていくのではないかと思います。因果関係の立証は難しいでしょうから、厚生労働省およびガイドライン作成者への責任追及や、薬害としての認定などはなされないないかもしれません。

昨年、そうした変化を予感させる出来事がありました。atopic署名運動事務局という団体が、2014年9月、日本皮膚科学会に対し、アトピー性皮膚炎診療ガイドラインを改訂するよう求めて16,112筆の署名を提出したのです。16,112という数字は少なくないですし、潜在的にはより多くの患者がいることでしょう。こうした多くの人たちが、ステロイド外用薬およびタクロリムス軟膏にはある種の問題があると考えているわけです。

参考までに、求めている改訂内容は次の通りです。

  1. 「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」でステロイド療法・プロトピック療法が標準治療だと明言している「日本皮膚科学会」に、標準治療で治らない場合はステロイド剤や免疫抑制剤を使わない治療も治療の選択肢の一つであるということをガイドラインに取り入れていただくこと。
  2. 「ステロイド・プロトピック・保湿剤に対する依存症の存在」を医師が認め、ガイドラインに記載していただくこと
  3. 小児の治療において、「ステロイド・プロトピック」の使用を極力減らすことをガイドラインに取り入れていただくこと。

 

(追記:2015年11月23日)

署名提出後の経過について、記しておきます。

atopicは2014年7月22日に9,055筆の署名を提出し、9月30日に16,112筆の署名を提出したとのことです。

しかし、現時点で、atopicには、日本皮膚科学会から何の返答もないようです。

日本皮膚科学会に署名を提出した際に、私たちの署名に対する何らかの返答を求めました。
しかし、一向に連絡はございませんでした。*1

atopicによる説明は次のリンクにあります。

キャンペーンについてのお知らせ · 経過のご報告 · Change.org

 

ところが、日本皮膚科学会雑誌(125巻1号, 150-154, 2015)によれば、2014年9月5日に行われた日本皮膚科学会理事会において、議題として、atopicの意見書が取り上げられたというのです。

島田理事長から,資料に基づき報告があった.(中略)
②アトピー性皮膚炎患者会からの意見書について
 アトピー性皮膚炎診療ガイドラインにステロイド系が標準治療と記載されており,その他の治療法について記載していないため,改訂の際に記載してほしい旨の意見書の提出があった.これについて,個別的な治療選択を否定するものではないとの回答書を作成したことの報告があった.

この記事を読んだ佐藤健二医師が、2015年1月27日、日本皮膚科学会宛にメールを提出。この「回答書」を、atopicおよび佐藤医師へ送付するよう求めたとしています。

佐藤医師による説明は次のリンクにあります。

アトピーガイドライン改訂の要求に対する皮膚科学会の動き - 佐藤健二のブログ

こちらも、現時点で、日本皮膚科学会からは何の返答もないようです。

 

なぜ、返答がないのでしょうか。

回答書を2部コピーして郵送するなり、PDFでメール添付すれば済む話です。日本皮膚科学会のホームページで公開してもよいのです。これでは、本当に回答書を作成したのか疑念がもたれても仕方ありません。

穿った見方をすれば、皮膚科学会雑誌に「回答書を作成した」との記述を残して、本当は存在しないにもかかわらず既成事実化しようとしているのかもしれません。

しかし、このやり方は皮膚科学会としてはリスクが大きいです。atopicが解散するか、佐藤医師が引退するまでは、追及が続きますし、インターネット上には返答がない旨を記した記述が永久に残されるからです。

署名提出時および現時点での、日本皮膚科学会の理事長は島田眞路氏です。署名の名宛人も「日本皮膚科学会理事長 島田眞路殿」です。島田氏は、東京大学医学部卒で、現在、山梨大学医学部皮膚科学講座の教授であり、山梨大学学長でもいらっしゃるようです。

このままでは、1万を超える患者の声に耳を傾けなかった理事長として、永遠に記憶されることになります。

ともあれ、薬の副作用に苦しんでいる16,112人の要望に対して、何の回答も示さない姿勢は、私には、ほとぼりが冷めるのを待って、問題を曖昧にし先送りしているようにみえます。この問題ついても、注視していきたいと思います。